これだけ「何も決まっていない」施策は珍しい
日経クロステックの記事によると、「予算はシステム開発費を含めて2000億円を超える見通し。2500億円に達するとの見方も出ている。規模としては、2019年度予算において消費者還元分だけで約1600億円を確保した経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業に匹敵するか、これを上回る可能性がある」とのこと。
この事実を前提に考えれば、国のキャッシュレス施策の“本丸”は、2~5%の還元策ではなく、2020年に行われるマイナポイントだと言ってもいい。
しかし、このマイナポイント、まだまだ問題が山積みである。私は12年間、国のいろいろな施策の影響を予測してきたが、この段階で、これだけ何も決まっていないのも珍しい。総務省のホームページに掲載されている「マイナンバー総合フリーダイヤル」にも問い合わせてみたが、オペレーターからは「検討中」という回答しかなく、新しい情報は何一つ得ることができなかった。
2019年12月現在、私自身が把握しているマイナンバーカードの問題点は大きく3つに整理できる。それぞれ解説していこう。
3つの大きな問題点
問題その1「マイナンバーカードとキャッシュレスの紐づけが大変」
マイナポイントは、マイナンバーカードに付与されるのではなく、マイナンバーカードの保有者が使っている決済サービスの中で充当される。つまり、マイナポイントを受け取るためには「マイナンバーカードの発行」と「マイナンバーカードと決済サービスを紐づける」という2つの面倒な作業がつきまとうことになる。
マイナンバーカードの発行は、郵便、スマホ、照明写真機等で行うことができる。しかし、発行まで約1カ月かかるため、申し込みが殺到すると、マイナンバーカードが配布されるまで2~3カ月を要する可能性がある。期限内にマイナンバーカードが発行できない人が出てくることも考えられるので、発行遅延者に対しての何らかの対応策が出てくるのではないかと思われる。