「つまらなさ」を感じさせる3つの障壁

ところで、『進撃の巨人』(作・画:諫山創)という大人気の漫画をご存じでしょうか? 2019年5月現在でコミックの累計発行部数が8000万部を突破している大ヒット作です。

内容を簡単に紹介すると、突如出現した巨人により、人類が滅亡の危機に陥るというストーリーです。生き残った人類は「ウォール・マリア」「ウォール・ローゼ」「ウォール・シーナ」という三重の巨大な城壁の内側に生活圏を確保し、どうにか生存しているといったところから物語が始まります。

私は、人の頭の中にも同じような3つの壁があると考えています。点の移動を阻み、「つまらなさ」を感じさせる障壁です。

これをビジュアル化すると、下図のようになります。外側からそれぞれ「認知の壁」「私事の壁」「獲得の壁」と呼びます。

この壁を突破して、点を移動させないことには、どんなに身振り手振りのパフォーマンスを学んでも、聴き手に「おもしろい!」と思ってもらえたり、聴き手の心に響いたりすることはないのです。

画像=『感動する説明「すぐできる」型』
3つの壁

情報量がキャパシティを超えている時代

ここまで、つまらない話には4つのパターンがあり、つまらなさを感じさせる3つの障壁があることを紹介しました。詳しく解説していきましょう。

パターン①:「は?」話の内容がまったくわからない
パターン②:「べつにいいかな……」その話の内容は自分には関係ない
パターン③:「そうは言ってもねえ……」話の内容は自分に関係するけど、自分にはできない、採り入れられない
パターン④:「そりゃそうだ」すでに知っていて、もう当たり前の話
3つの壁:「認知の壁」「私事の壁」「獲得の壁」

まず、話がつまらなくなるパターン①ですが、これは話の内容がまったくわからない、あるいは頭に入ってこないような場合です。つまり、聴き手が認知すること(知ること)ができない状態。このパターンが最悪です。

しかし、情報過多の現代、じつはほとんどのネタが、この「認知の壁」に阻まれています。あまりに多くの情報に晒されると、人は情報を認知するに至らず、スルーしてしまうからです。

現在、世の中にある情報量は、明らかに一人の人間が受け取ることができるキャパシティを超えています。YouTube上では、毎日1分間に300時間分以上もの動画がアップされているといわれています。誰もが溢れる情報にまみれる、いまの世の中で、自分が話すネタを知ってもらうというのは、かなり骨が折れる作業なのです。