「話のネタ」を変えてしまうのは本末転倒

自分の話が聴き手の心に響くかどうかは、パフォーマンス的なスキルの高さには左右されません。そのことは、私のこれまでの経験からも断言できます。聞き手の頭に、自分の話の内容が入っていかない原因は、いわゆる表面的な話し方のスキル不足ではないのです。

また「話すネタ」そのものも、本人がそれを伝えることに価値を感じているのならば、ヘンにすり替えてしまわないほうがいいのです。そもそも、そのネタを伝えたいから話をするのに、それを大幅に変更してしまうというのは本末転倒でしょう。

では、聴き手に「つまらない」と感じさせてしまうのはどうしてなのでしょうか?

ここからは、そもそも話がつまらないと感じてしまう原因とそのパターンについてお話ししたいと思います。

「4つのゾーン」と「4つのパターン」で話のネタを分類

まず、話のネタを、聴き手の知識や関心の度合いによって4つのゾーンに分けてみました。

知らないゾーン:聴き手が認知できないネタ
関心ゾーン:聴き手が気になったり興味があるネタ
関係ゾーン:聴き手と無視できない結びつきのあるネタ
自分ゾーン:聴き手自身がすでに使いこなせているネタ
画像=『感動する説明「すぐできる」型』
4つのゾーン

それでは、この図を使って、話がつまらなくなる原因を解説していきます。まず、つまらない話の4つのパターンから見ていきましょう。

パターン①:「は?」話の内容がまったくわからない
パターン②:「べつにいいかな……」その話の内容は自分には関係ない
パターン③:「そうは言ってもねえ……」話の内容は自分に関係するけど、自分にはできない、採り入れられない
パターン④:「そりゃそうだ」すでに知っていて、もう当たり前の話

この4つのパターンを先ほどの図に充てはめると、下図のようになります。

画像=『感動する説明「すぐできる」型』
4つのパターン

勘のいい人はもうお気づきでしょう。4つの各ゾーンにある点が、それぞれのゾーンよりも内側に移動しないときに、話がつまらなくなるのです。いわば、4つのゾーンのあいだでネタの「中心に向かう点の移動が起こらない」ことが、話がつまらなくなる原因なのです。

そこで本稿では、つまらない話とは、「聴き手の興味・関心や知識・理解が深まらず、心を動かす力がない話」と定義しておきます。