【渡部】2件目は私の恩師の家、3件目は両親の友人の家。そうやって事例をつくるうちに理解が広がって、最終的には20家族に協力してもらいました。ただ、このプロジェクトは16年に始めて1年でやめました。

【田原】どうして?

【渡部】出口がなかったんです。ホームステイ中はとてもいい時間を過ごせるのですが、それだけじゃ自立ができません。ほとんどの人が認定されない現状では、難民の人たちも自分たちのスキルを生かして仕事をすることが大切。そこでいまは難民と企業をつなげる事業をメインでやっています。

きちんとしたスキルを持った人材として評価してもらいたい

【田原】いま、何社くらいの企業と組んでいるのですか?

【渡部】始めて約1年半ですが、社員雇用が6件で、社員を前提とした試用期間が3件、アルバイトが1件。登録企業は85社です。

【田原】就労のマッチングは有料?

【渡部】社会的意義に共感してくれたエージェントと連携して、有料で行っています。難民ブランディングで、かわいそうだとか安いから雇うのではなく、きちんとしたスキルを持った人材として評価して雇用してもらいたい。実際、難民は逆境を乗り越えてきた人たちで、頑張る力がすごいんです。

【田原】頑張っていらっしゃると思うけど、2万人に対して10人ではまだ少ない。今後、どうやって増やしますか。

【渡部】19年は月1件、20年には月5~10件を目標にして、いずれ難民自身がコーディネーターになって回せたらいいなと考えています。じつはそういうモデルがすでにフランスにあって、その団体はオンラインも活用しながら、もう800件のマッチングをしています。その日本バージョンをつくれたらいいなと。存在や秘められた可能性が可視化されれば新しい道が見えると思っています。

【田原】頑張ってください。

渡部さんへのメッセージ:海外から来る難民と日本をつなぐ架け橋になれ!

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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