移民だけで2万人以上の新生児が誕生

昨年2023年、ドイツで提出された難民申請が35万1915件。うち初回申請分は前年比51.1%増で、32万9120件。残りは2度目以上のものだ。なお、初回申請のうち2万2603件は、その年に生まれた子供のものだった(BANF=移民・難民に関する連邦局)。イスラム教徒は出産率が高く、出産年齢も早いので、ドイツ人がようやく初孫を見る頃には、たいていひ孫が数人いる。

ドイツ、ミュンヘンのマリエン広場
写真=iStock.com/Andrey Danilovich
※写真はイメージです

ドイツの施政者はかねてより、地球の温度は人間の力で下げることができると主張しているが、他国の人間が国境を突破して侵入してくるのは、人間の力では防げないとする。だから、ドイツに来たい人は全員受け入れて難民申請を提出させ、それを審査する。とはいえ処理能力には限りがあるため、昨年の申請分は9万314件が未処理だそうだ。それ以前からの累積ではどれだけ溜まっているのか、見当もつかない。

外務省に「法律違反」の疑いも

それどころか23年2月にはCicero誌が、ドイツ外務省が人権派NGOと一緒になって、パキスタンに逃げているアフガニスタン人の青年にドイツへの入国ビザを出すようにと、現地の大使館に圧力をかけた様子を報じた(外務省は緑の党の管轄)。

ちなみにそのアフガニスタン人は偽造パスポートを所持し、病身であるとか、未成年であるという話は信憑性に欠け、また、ドイツにいる“兄”は肉親でない可能性が高く、それどころか、本人が本当にアフガニスタン人であるかどうかも疑わしかったという。

Cicero誌は今年の7月、再度その問題を取り上げ、外務省のビザ交付の破綻ぶりをさらに詳細に報じた

この件に関しては、ドイツの治安を脅かすだけでなく、法律違反の疑いも濃厚であり、検察が捜査を開始したという。

ただ、緑の党や現政権の不祥事について、主要メディアがほとんど取り上げないのは毎度のことで、今回も梨のつぶてのため、多くのドイツ人は、外地の大使館で何が起こっているかを知らないままだ。もし、このスキャンダルがCDU政権でのことなら、どんなに大騒ぎになっていたことか。

なお、寛大に入れた難民志願者は、その後も寛大に扱われる。難民として認められる確率はほぼ半々だが、前述の通り審査が滞っているため、すぐに追い返される心配はないし、審査中でも衣食住はもちろん、お金まで支給される(それが国外に送金されていることが問題になっている)。これらが、難民がドイツを好む主な理由だ。