他社の人から「そんなに低いの?」と驚かれた給与
【成毛】頑張れば報われる。つまり、グローバルスタンダードの会社になったわけですね。
【山田】そうです、といいたいところですが、ほかの出版社の方と話すと「そんな仕組みでよく会社が回っているね」といわれたりするので……。出版業での普通と、世間一般の普通は、やはり違うのかもしれません。うちの会社に限っていえば、今は頑張ればもらえるようになった上、給与水準も悪くない。だからミスマッチを感じて辞める新卒者こそいますが、ある程度までいると、そのまま会社に残っています。
【成毛】当然だけど、現状の待遇に納得できているかどうかは「決断」に大きく関わってくるよね。ぶっちゃけ、いくらもらっているの、と聞きたいところだけど。ベースとなる給与待遇はいいわけね。
【山田】でも、昔はそれほどいいとは感じていませんでした。20代の頃、他社の人と話していたら「そんなに低いの?」って驚かれたくらい。組合交渉では、ダイヤモンド社と比べていかにうちの待遇が低いか、と討論していました。ただ、交渉を通じて、業績がよくなったらその分給与を引き上げていく、ということで経営側も約束してくれた。それで今は、他社と遜色ないところまで上がってきた、ということですね。
「自分は評価されていない」は自意識過剰な思い込み
【成毛】この話を進めていくと、あらためて東洋経済新報社がいかにすばらしい会社か、というオチになりそうだな。山田さんの場合は辞めないという「決断」をしてよかった、ということですよね。
【山田】そうですね。経験上、僕からいえるのは「感情的には動かない方がいい」ということだと思います。不本意な部署異動とか想定外のキャリアチェンジとか、いざそういったものを目の前にすると、その瞬間は、それが人生の「大事件」のように感じてしまう。でも後々振り返ると、まったくそんなことはない。しかも、周囲もそれほど大したことと考えていない、というのも事実なんですよね。それなのに、勝手に「自分は評価されていない」「会社は何もわかっていない」といった思い込みをして、そのまま会社を辞める人があまりに多い。
【成毛】そもそも、あなたのまわりにいる人たちは、そこまであなたのことを考えていないし、見てもいない。自意識過剰なだけですよ、と。