「延長シートベルト」で寝たままでも安全に利用できる

座席をカウチシートに変えるには、隣席との肘掛けを上げて、シートのフットレストを垂直に持ち上げる。するとシート3席分の長さ155cm、シートピッチ分の幅83cmがフルフラットのベッドになる。

専用の寝具とシートベルトもある。延長シートベルトを装着することによって、航空当局より寝たままでも安全に利用できるお墨付きを得ている。

睡眠をとることを前提に完全なフルフラットになる席をエコノミークラスの運賃に加算する形でリーズナブルに利用できる特別な空間にした。

「プレエコ」よりは高いが、フルフラットの魅力は大きい

ANAのホノルル路線に導入される「カウチシート」。ベッドになる前も、フラットシートでくつろぐことができる。(写真提供=ANA)

料金はどうか。追加料金を支払うと1人で使う場合はプレミアムエコノミークラスよりは高くなるが、2人で利用すれば同クラスよりも安くなる。エコノミークラス3席をカウチとして1人で使う場合、20%ほど安くお得感はある。

「スカイカウチ」は通常席で売ることもできるので、全席に装備したほうがいいようにも思えるが、フットレスト分の重量が増えてしまうので燃費が重要な航空機にとっては現実的ではない。

ニュージーランド航空が日本線に就航させるボーイング787-9ではエコノミークラス263席の16%にあたる42席を使用する14グループのみの特権となる。この席数は、子供連れの家族やカップルの利用を想定しての設定値だ。改修機では、39席の13グループに減らして試している。

*通常期に往復エコノミー「スカイカウチ」を利用した場合、全クラスの比較

全体の16%にあたる60席が「カウチ」になった経緯

ANAのカウチシートの座席数はニュージーランド航空の座席比率と同じでエコノミークラス全体383席の16%にあたる60席となった。ANAは3人席だけではなく、大人が楽に足を伸ばせる4人席も設置したので18グループへのサービスとなる。

16%という比率が一致したのはなぜなのか。ニュージーランド航空はANAに対し「スカイカウチ」の特許を使わせるライセンシングを行った。座席比率もマーケティング戦略の重要項目なのだろう。