ホノルル路線はJALが首位で、ANAはシェア拡大が悲願
ANAがこの5月、成田からホノルル路線に就航させた超大型機エアバスA380においてカウチシート(ANA COUCHii)を導入した。エコノミークラスの並び席をベッドとして使えるようにしたものだ。日本からのホノルル路線では1954年から就航したJALが首位のシェアをもつ。ANAの同路線は、1998年の就航なので、実に44年もの差がついている。その差は如実に輸送力に反映している。
日本からホノルル空港への毎日の便数ベースではJALは成田空港から4便、関西と中部空港からそれぞれ1便ずつで週42便。ANAは、成田空港で2便、羽田空港に1便で週21便。その他ハワイアン航空週28便、デルタ航空週20便とユナイテッド航空、大韓航空、エアアジアXの3社各1便で週21便。合計週間132便となる。
シェア率は、JALの32%と、ANAの16%とは16ポイントの差が存在する。ANAはシェアを埋めるべくレジャー路線に同社最大の機材を新規導入する大胆な策に打って出たともいえる。
奇策とも言えるこのプロダクトを導入したのは、従来機の2倍ほどにもなる520もの総座席を埋めるのに、注目を集める必要があったからだ。この大型機は他の路線では使わないので、ファミリーの多いハワイ線ならではの多様なサービスを導入できた。もととなるカウチを考案したのはニュージーランド航空で、ANAに技術供与したものだ。
食事も可能で、離着陸時以外はずっと利用できる
ニュージーランド航空の日本路線にカウチシートが導入されたのは2014年だ。筆者は2017年に搭乗し、同社のエコノミー「スカイカウチ」を体験した。座席ではあぐらをかくことができ、ぐっすり眠れた。シートをベッドから通常の座席状態に戻さなくても食事が可能で、離着陸時以外はフライト時間中ずっと利用できる。変わった座席なので一般エコノミークラスに座る他の旅客からの視線を感じたものだ。
「スカイカウチ」の利用者は子供連れが多かった。親にとって、飛行機での移動での心配事は「子供がぐずること」だろう。この設備では、歩いたり、眠ったりと体勢に縛られることのない状態で遊ぶ子供の姿を見ていることができる。まるで自宅のリビングにいるかのような体勢で過ごせるのだ。ビジネスクラスを超える快適性と言う人もいるだろう。