35歳までに会社を出ないと「井の中の蛙」になる
大企業のどんな優秀なエースでも、35歳までに会社の外に出て広いマーケットであらゆるリソースの制約の中で戦ってみないと、井の中の蛙になる可能性が高い。
いずれにせよ、そういう意味でも「一つの企業で働き続ける」という発想は捨てたほうがいい。
私のような40代の親世代はよく「正社員になることが安定をもたらす」と言うが、それもない。新入社員の30%が3年以内に、最初に勤めた企業を去る時代である。それが前向きな転職ならいいが、特に若い世代の退職は心を病むことが原因であることが多く、その後のキャリアが低空飛行になることもある。つまり、正社員にこだわることは長期的視点で見るとむしろ不安定になりかねないのだ。
ならば上意下達で自由度のない職場を選ぶよりも、不安定飛行ながらも時間と人との距離感(ストレス度合い)を自由に選択できる「健康的自立」を最初から選ぶほうが長期的には安定するのではないだろうか。
ネットワーク社会ではそうした生き方がしやすくなる(図表3)。
事業家・思想家
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラミング事業をはじめとする複数の事業、会社を経営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。