なぜ、労働時間半減で収入が倍増したのか
今のような時代は、リストラされたときフリーになることを考える人も多い。しかし、不況下では、しっかりした顧客を持っている個人事業主ですら仕事は減るものだ。アメリカの労働統計局によると、米国の臨時雇員数は、2008年3月の250万人から09年3月には180万人に減少した。事業を始めるなら、同じく仕事を探しているその他大勢との違いを明確にしなくてはならない。
ビクター・チェンは、マッキンゼーのコンサルタント、先端技術担当エグゼクティブを経てフリーのコンサルタントに転じた。家族が何よりも大切と考えて独立したと言うチェンは、次のように語る。「妻が最初の子を妊娠中、180日間も出張で家を空けた。家にいられたらもっとよい父親になれるのではと考えたんだ」。
もし、マッキンゼーでパートナー(役員)にまで昇進していたとしても、今のチェンの時給はそれをはるかに上回るという。勤めを続けていれば週80時間にも達していただろう労働時間は今、30~40時間だ。出張もなく、午後は毎日2人の娘の相手をして過ごす。ビジネスコーチとして、不況期のマーケティング専門家として、また講演者・著作者として引っ張りだこのチェンは、こうして実に快適な生活を送っている。
「成功のために最も大切なことは、マーケットの需要を認知できること」と、チェンは言う。
「フリーになるとき『自分はXを売りたい』という思いで仕事を始める人が多い。『顧客はYを求めている』という認識に欠ける人ばかりなんです」
チェンのように知名度があり、幅広いスキルを持ち、リスクを負うこともいとわないのであれば、フリーのコンサルタントとして独立を検討しても大丈夫だろう。だが、しっかりした実績なしに、クライアントを引きつけるのはおそらく難しい。