ここへきて、不況で労働時間が短縮され賃金が減った分を補えるよう、大手の製造業を中心に副業を認める企業が増えている。転職サイト「DODA」が、ホワイトカラー系の正社員を対象に行った調査によると、30.8%の人が「副業をしたことがある」と回答している。ちなみに2007年の調査では、副業経験のある人は17.1%で、2年で2倍近くに増えている。

<strong>深野康彦さん</strong>●人気ファイナンシャル・プランナーとしてメディアにも登場する深野さん。「今回の不況は独立してから一番キツイです」と漏らす。
深野康彦さん●人気ファイナンシャル・プランナーとしてメディアにも登場する深野さん。「今回の不況は独立してから一番キツイです」と漏らす。

ファイナンシャル・プランナー(FP)の深野康彦さんは「今後は副業が当たり前になる」と強調する。

「今夏のボーナス支給額は、前年比二桁減とも報道されていますが、不況の影響が実感を伴ってくるのは、これから。1990年代バブルの崩壊後、何度も不況を経験し、節約はしつくされた感もある。今後は、節約と副業の両輪で生活を支えざるをえないでしょう」(深野さん)

今年になって東芝、富士通、日産自動車などのメーカーも、社員の副業を容認する動きが出てきた。

東芝は、現在半導体の製造工場に勤務する1万7000人の社員を中心に、副業を認めているが「副業に対して、申請の義務はない。社員が何人副業しているかは把握していない」(東芝広報部)。逆に日産は、副業には申請が必要だが、「今まで申請した社員はゼロ」(日産広報部)という。

深野さんは、副業が成功するかは「いかにプライドを捨てられるかだ」と指摘する。

「FPの世界もこの不況でキビシイ状況です。私自身、食事に行ったときに、『もっとヒマになったらウエーターのバイトでもしようか』と言っています(笑)」

前述の調査でも、29.6%の人が稼いだお金の使い道を「生活費」にと答えている。1カ月あたりの副業収入は「1万~3万円未満」が36.0%でもっとも多く、「9万円以上」稼ぐ人は9.7%。その一方で13.4%の人が「1万円未満」しか稼げていない。副業の現状は想像以上に厳しい。