経営者は、日本経済に貢献する立役者である
日本ではどれだけの人たちが起業しているかを海外と比較してみると、18~64歳で起業している日本人の比率は「3.8%」と、経済発展が進んだ29カ国グループ平均の「8.5%」を大きく下回っており、同グループ内で最下位だった(経済発展が遅れたグループでは、さらにその比率は高まる)。また「起業をよい職業選択だと考えている」と答えた人の割合も、同平均では「55%」なのに対して、日本は「31%」と同グループ内で26番目だ(いずれも、「GEMグローバルレポート2014」より=注)。
こうした閉塞した社会環境の中で起業し、日本経済に貢献している経営者とは、日本を牽引する立役者だと言える。
「会社員のためのビジネス情報」があふれている
他方、1953年時点で被雇用者と呼ばれる会社員は「42.4%」と半数にも満たなかったが、2001年には「84.6%」にもなった(総務省「労働力調査」をもとにした、国土交通省国土計画局作成データより)。こうした構造変化により、日本人は学校を卒業して社会に出ると、どこかの企業に雇用され、「会社員」になるものだと考え、働くことは「雇われること」だと思い込んでしまった。
世の中にはビジネス情報があふれているが、企業に雇用されている「会社員」を対象にしたものが大部分を占める。ビジネスパーソンの大半が「会社員」だからだ。さらに、情報を集めて記事を書く人も大半が「会社員」のため、経営者の意識や直面している問題は理解できずに情報発信している。世の中が「会社員」ばかりになれば、「会社員」のためのビジネス情報があふれ、四方山話的なコンテンツが増え、経営者に有益な情報は限られてくる。
「会社員にわかりやすい情報」の価値が揺らいでいる
テレビや新聞といったマスメディアしか存在しなかった時代は、企業の評価基準は、「創業年数」「規模」「社員数」「店舗数」「売上規模」「シェア」といった、「会社員」にもわかりやすい尺度が使われた。しかし、ITやAIといった新たなテクノロジーが誕生し、モノをつくる製造業以外に、新たなシステムやソフトウエアを生み出す多様な企業が続々と誕生し、社員数は少なくても短期間に急成長を遂げて注目される企業が数多く登場してきた。こうした企業環境の変化に伴い、企業を評価する尺度は「利益率と利益金額」「企業の知的資産や付加価値」「販売価格の維持力」「他社に依存しない経営の自立度」などに変わってきている。売上高や社員数、店舗数などが多くても、薄利多売で収益性が低く、さらには赤字が出るような企業では評価されない。その証左として、誰もが知っていたいくつもの大企業はすでに消滅し、あるいは現在、経営危機に陥っている。
当ブログでは、読み手・情報の使い手を経営者に限定し、経営者が必要とする情報を提供し、経営者とともに、双方向に意見交換を図りながら、成長していく運営を目指していく。
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(「社長の参謀」アドバイザー、酒井光雄)
*2019年1月より、「社長の参謀ブログ」は「PRESIDENT経営者カレッジ」に名称変更しました。
※GEMとは、「Global Entrepreneurship Monitor」(グローバル・アントレプレナーシップ・モニター)の略で、アメリカのバブソン大学とイギリスのロンドン大学ビジネススクールの起業研究者が集まり、「正確な起業活動の実態把握」「各国比較の追求」「起業の国家経済に及ぼす影響把握」を目指したプロジェクトチームが実施する調査のこと。日本の調査データが出ているグローバルレポートとしては、2014年が最新。