業務改革に取り組む上で欠かせない「業務フロー図」。業務の流れを可視化するとともに、業務に潜む課題を洗い出すのに有効です。では、どう描けばいいのか。業務改革を下支えする業務フロー図作成のポイントを紹介します。なお、本連載はプレジデント社『成功=ヒト×DX』の内容を基に編集しております。
スーツを着た人
写真=iStock.com/taa22
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業務フロー図作成の準備

DXは「業務改革」と「システム構築」を両輪で進めることが大切です。前回は両輪の1つ、「業務改革」を進める際のポイントに触れましたが、今回は業務改革を可視化するのに必要な「業務フロー図」の描き方を紹介します。

参考:前回の記事/業務改革を進める際のポイントはこちら
業務改革の課題解決に役立つ3つの視点、迷走しない進め方とは

業務フロー図は、「社内の共通プロセスをつくること」が作成の目的です。そのためには対象となる業務を明確化するとともに、業務フローを作成する手順を整備することが必要です。明確なルールに基づき業務フロー図を作成すれば、現在の業務の問題点と解決策を容易に可視化できるようになります。

対象となる業務を明確化する

まずは現在の業務を明確にします。各業務の担当者にヒアリングして業務を洗い出し、業務フロー図を作成します。

例えば小売業の場合、「発注」「販売」「棚卸」などに業務を大きく分け、それから担当者にヒアリングするのが望ましいでしょう。大切なのは、1つの業務フロー図の作成対象範囲を広げすぎないこと。対象範囲が広すぎると業務フロー図が複雑になり、どこに何を記しているのかが分かりにくくなります。

業務フロー図のフォーマットを統一することも必要です。例えば、横軸や縦軸には何を書くのか、使用するアイコンの種類と意味などです。業務ごとに異なるフォーマットで業務フロー図を作成すると、担当者にしか理解できない業務フロー図が完成してしまいます。業務フロー図に担当者ごとの解釈が反映されると、業務の標準化も図れなくなります。結果として目的の「社内の共通プロセスをつくること」が達成できなくなります。

【図表】業務フロー図のイメージ
出典=プレジデント社『成功=ヒト×DX