人手不足は、今に始まった話ではない
企業のおよそ9割の数を占める中小企業で、その74%が「人手不足」を感じ、34%が売り上げの減少、30%が商品・サービスの質の低下といった影響が出ており、人手不足が経営の重荷になっていることが、中小企業基盤整備機構の調査で明らかになった(2017年3月に中小企業基盤整備機構が実施した「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」に関する中小企業アンケート調査)。
知名度の乏しい中小企業や新興企業にとって、人手不足は今に始まったことではなく、以前から経営者の悩みは「1に人材、2に人材、3、4がなくて5に人材」と言われてきた。
中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会」が提言する「人材を獲得するために必要な社内体制の整備」には、社内体制の整備について、有益な指摘があったので、ここにまとめておきたい。
人手不足こそ、変革・成長のチャンスと考える
中小企業の人手不足が深刻な状況になっていることを受けて、中小企業庁は「中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会による~中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を発表した(2017年3月、中小企業庁経営支援課)。その有益な指摘は、「3つの基本的な考え方」から始まっている。
▼基本的考え方、その1
経営課題として深刻化する人手不足を変革・成長のための機会と捉え直し、経営者次第で企業の変革が進む可能性がある。
離職原因は、上司との人間関係や業務内容、賃金、職場環境にあり、労務管理や意思疎通、人事管理などの職場環境整備は人材確保・離職防止において重要。
▼基本的な考え方、その2
募集する対象者を「女性」「高齢者」「外国人」にまで広げ、さらに働き手の立場に立った職場環境の整備を進め、人材を獲得する。
▼基本的な考え方、その3
ITの導入や設備導入、人材育成により、労働生産性を向上する。
次に、実際に人材を獲得するために取り組む際の「3つのステップ」が示されている。
▼採用前のステップ1
自社の「背後にある経営課題」や「補充したい業務」を見つめ直す。
▼採用前のステップ2
「業務の生産性」と「業務に対する求人像」を見つめ直す。
▼採用前のステップ3
女性、高齢者、外国人など対象となる働き手の目線で、「人材募集」や「自社PR」「職場環境」を見直す。