"真摯な企業活動"がネットで拡散される会社
企業経営者の「意識改革」や「社内体制の整備」は人材採用の前提条件だが、この条件を満たした後に、企業が取り組まなければならない施策がある。それが「企業ブランド力の向上」と「広報活動の強化」だ。
いかに企業規模が小さくても、優秀な人材が集まる企業は存在する。事業の将来性が第三者から見て期待されることは言うまでもないが、人が集まる企業は「価格の安さ」で競うのではなく、価格が高くても顧客から『価値』で選ばれる『ブランド力』を発揮する企業であり、価値のある商品やサービスを提供している。
また、人材が集まる企業は広告を投入していなくても、心ある人たちにその存在が知られている。真摯な企業活動や注目される商品・サービスがテレビ番組や活字メディアの記事として紹介され、Facebookに代表されるSNSやブログのコンテンツとして、ネット上に当該企業の情報が拡散しているからだ。
マスメディアしか存在しない時代には、企業の知名度を高めるには大規模な広告予算が拠出できる大企業が有利で、「誰もがその企業名を知っていると」いう知名度が、企業を評価する尺度になっていた。
だがインターネットが登場し、情報は自ら検索して必要なコンテンツを手に入れる情報検索社会になると、知名度だけでなく、ネット上に情報があふれる企業が注目されるようになってきた。世界的に知名度の高い巨大企業が経営危機に陥り、あるいは消滅している社会構造の変化が、人々の企業を見る目を変えつつある。
どうすれば“企業ブランド力”は上がるのか
本来、企業のブランド力は、事業活動と同様に時間を掛けて着実に向上させていく「見えざる知的資産」だが、人材不足が深刻な企業の時間的余裕は限られているだろう。
こうした場合には、自社の価値を「見える化」する施策から着手し、「ブランド資源」を増やしていくことから始める。ブランド価値を高めるために必要となる資源は、実は企業には無数に存在している。
例えば、次のようなものだ。
「人」=男性社員や女性社員、外国人社員、経営者…
「モノ」=商品、サービス、店舗、オフィス、工場…
「デザイン」=社屋、オフィス、商品、ユニフォーム、ホームページ、社用車、社用文具…
「ノウハウ」=技術、特許、実用新案、知的資産、発表論文、自社で刊行した書籍…
「コト」=歴史、実績、海外進出、独自のイベント開催…
「立地」=メイドインジャパン・東京や京都といった立地条件…
「情報」=過去にメディアの番組や記事、ネット上で紹介された内容とその履歴…
「評価」=受賞や表彰、愛用者やプロからの賞賛…
「顧客」=熱烈なファンの声、顧客の質の高さ、著名人の愛用者…