韓国は北朝鮮の核・ミサイル開発をどう考えているのか
産経社説は指摘する。
「事態が動かない責任は『完全非核化』の約束に行動が伴わない北朝鮮側にある。『急ぐと適切な取引にならない』と拙速を戒めたトランプ氏の態度は正しい」
妥当な指摘だろう。3回目の米朝会談に向けて何が飛び出すか分からない状況は変わっていない。これまでトランプ氏には金正恩氏の戦略に取り込まれるのではないかとの不安があった。その不安が少し消えた。
社説はさらに指摘する。
「北朝鮮は何も変わっていない。国際社会が求めているのは、核を含む大量破壊兵器と弾道ミサイルを北朝鮮から一掃し、隠匿していないと証明することだ」
北朝鮮が変わっていないのは確かである。いや以前に増してしたたかになっている。その辺を国際社会がしっかりと見極める必要がある。産経社説は韓国の対応にも触れる。
「気がかりなのは、韓国の文大統領が、開城工業団地や金剛山観光など南北経済協力事業の再開に意欲を見せていることだ」
「金委員長も施政演説で、韓国に『仲裁者』ではなく『民族の利益を擁護する当事者』として行動で誠意をみせるよう求めた」
同じ民族として北と南が仲良くすることに異議は唱えない。問題は北朝鮮の核・ミサイル開発なのである。韓国は危険な北朝鮮の肩を持つ。国際社会を無視しているのか。最近の韓国の対応は、おかしなところが多い。文氏が何を考えているのか、時々分からなくなる。
北朝鮮が核保有をあきらめるとは考えられない
次に毎日新聞の社説(4月16日付)を読んでみよう。
「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、国会に当たる最高人民会議の2日目に施政演説を行った。最高指導者の施政演説は29年ぶりである」と書き出し、こう指摘する。
「金氏は、完全な非核化まで経済制裁を維持する米国の姿勢を非難し、方針転換を迫った。3回目の米朝会談に意欲を示しつつ、米側の譲歩が条件だと突きつけた。また、制裁の長期化を前提に、自力で経済再建する決意を国民に求めた」
北朝鮮の国民が食べるものが少なくて困窮するのは、すべて経済制裁を解除しようとしないアメリカのせいだと、国内向けにアピールして自分の立場を維持しようとしているのである。しかも「自力再建の決意」を国民に求めるのは虫が良すぎる。さらに毎日社説はこう書く。
「さらに今回の演説では『我々の核武装力の急速な発展という現実に恐れを感じた米国が会談に出てきた』とまで述べた」
「これは、当面核は手放さないということではないか。だとすれば、旧態依然とした発想のままだ」
沙鴎一歩もそう思う。金正恩氏はこれまで作った核を持ち続け、さらに核・ミサイル開発を続けるつもりなのだ。