連続特集を通読した結論は「遺言書を書いておけ」

今回、この原稿を書くために、現代の新年合併号から連続特集している相続問題をじっくり読んでみたが、その手続きの煩雑さに頭が混乱してきた。繰り返しも多い。

結論は、自分の死後、兄弟姉妹、親族間で揉めてほしくなければ、やることは1つだということである。遺言書を書いておくこと、これに尽きる。

一方で、相続人のいない「おひとりさま」なら死後の準備は不要だと考えるのは大きな間違いだという。

独居の人が亡くなった場合、警察は住民票や戸籍をたどって6親等までの親戚に連絡をしてくれるそうだ。ここで、「長い間会っていないから」と断れば、役所が近隣住民や地域の民生委員に連絡をしたり、賃貸に住んでいた場合は大家さんに依頼したりすることになる。

では引き受けた場合どうなるのか。故人の死亡届や火葬許可証を提出して火葬するのだが、この費用だけでも20万円かかるという。

さらなる問題は故人の遺品の整理だ。親戚やアパートの大家などの利害関係者が、家庭裁判所に申し立て手続きをして、相続財産管理人として弁護士や司法書士を選任することになるが、監理・整理された遺産は、特段のことがない限り、国庫へ納められてしまう。しかも、遺産が少なければ管理人に報酬を数十万から100万円ぐらい前払いしなくてはいけないという。

独身で、カネもない、親しい知人もいない場合

したがって、埋葬まではやっても、遺品整理はやらないことが多い。賃貸の場合は、大家が独断で遺産を処分してしまえるが、当然費用がかかるため、高齢者には家を貸さない大家も多いそうだ。

では、誰にも迷惑をかけないためにはどうするのか。遺産の整理を代行してもらう家族信託と、死後の手続きを代行してもらう死後事務委任契約を、司法書士などに依頼して契約を締結するのだが、費用がそれぞれ100万円、少なくとも200万円はかかるという。

それほどおカネがない場合は、親しい知人を遺言執行者に決め、死後の手続きを依頼できる。これだとお礼を含めて50万円程だが、知人が先に死んでしまうこともある。

『現代』が読まれているのは、ここで終わらないところだと思う。カネもない、親しい知人もいないときはどうするのか。

死後手続きを代行してくれるNPO法人がある。それでも50万円程度はかかるが、遺言書を作って、「遺産をNPOに寄贈する」としておけば、後払いできるという。

ここまでは、去っていく人がやっておくべきことだが、ここからは、残された人たちが知っておかなくてはいけない「間違いだらけの死後の手続き」について見ていこう。