故人の郵便物は「1年間」は廃棄してはいけない

受け取るカネの算段が付いたら、次は故人が払っていたクレジットカードの明細から確認して、カードでの引き落としを止め、その後、個別に連絡して解除手続きをする。

これもやった記憶は、私にはない。両親ともに銀行カードは使っていたが、クレジットカードはほとんど持っていなかったからだが、大変な手間がかかる煩雑な仕事であろう。

携帯電話は、そこにしか連絡先が入っていない知人もいるから、1カ月程度は残しておいてもいいそうだ。たしかに、亡くなったことを知らない知人から電話がかかってくるというのは、よくある。

また故人の郵便物も、1年間は廃棄してはいけないそうである。証券会社からの残高報告や、固定資産税の納税通知書などが届くからである。

これからがいよいよ大仕事である。遺言書があれば比較的簡単に済むが、ない場合は、資産の合計を出さなくてはいけない。

「準確定申告」の期限である4カ月などあっという間

まず自宅の土地や家屋。送られてきている固定資産税納付書で家屋、土地についてはインターネットで路線価を調べ、それに面積をかけて出すことができる。

証券口座は「死亡日の株価」を基に計算する。妻が生きていれば、家にそのまま住み続けられるし、配偶者の税額控除で相続税は無税になる。

だが、現金や株なども妻が相続すると、彼女が亡くなったときの「二次相続」では、優遇措置がなくなり、基礎控除も減るため、相続税額が高くなることもあるので要注意だ。

その後、遺産分割協議書にめいめいが署名押印しておく。

証券口座は、同じ証券会社に相続人が口座を開設して移す。不動産を名義変更する場合は、自宅に来ていた固定資産税納付書に掲載されていた所在地を確認したうえで、固定資産評価証明書と登記事項証明書を取得して、登記申請書を作成する。提出は不動産の所在地の法務局だそうだ。

遺産分割した後で遺言書が出てきた場合は、新たに分割協議をしなくてはならないが、分割協議のままでいいと相続人全員が同意すれば、そのままでいいそうである。

これだけ故人の死後手続きで忙殺されていると、被相続人の確定申告と納税を相続人が代わりに行う「準確定申告」の期限である4カ月などあっという間だ。