【10分】営業、交渉、提案…手ごわい相手を落とすには
「値段が高いね」と言われたら
10分間というと、交渉ごとや企画の提案など、こちらが一方的に話すだけでなく、相手との双方向のやり取りになる。このような場合は、相手の出方がわからないのが一番の不安材料だ。だが樺沢氏はこう言う。
「相手の出方がわからないと言いますが、ビジネスにおいて相手の言いそうなことなんて、ある程度決まっているでしょう。事前に相手の言いそうなことをリストアップして、それに何と答えるかを考えておけばいい」
たとえば「値段が高いね」と言われたときはこう返す、というような想定問答集をあらかじめ作成しておくのだ。
「僕は学会発表のあとの質疑応答で、どんな質問がきてもいいように想定問答集をつくっておきます。なかには予想外の質問もありますが、最低でも10パターン考えておけば、たいていなんとかなる。30パターン考えておけば、ほぼ9割フォローできる。100パターン考えれば、予想外の展開になることはありません。私はこれを『10・30・100の法則』と呼んでいます」(樺沢氏)
1度100パターンの想定問答集をつくれば、あとは随時それをメンテナンスしていくだけでいい。
「10分程度のまとまった話をするときは、話の”型”にそって話すとわかりやすくなります」というのは石田氏だ。”型”にもいろいろあるが、「なぜこうなのか」という根拠を求められるような説明に適しているのがPRD法である。
P(Point:結論)、R(Reason:理由)、D(Detail:詳細…理由を補強するための具体例、データ、実体験など)の順で話をすると、より説得力のある説明ができる。
「僕は、新しいニュース番組の司会者はAさんがいいと思います。なぜなら彼はお笑い芸人ですが、実はB大学の政治経済学部出身で、さまざまなニュースに自分なりの意見を述べられるからです。彼のラジオ番組を聞いたことがありますが、政治経済についてわかりやすく解説していました」
という調子だ。
デートの誘いにも使える
このPRD法を使うと、なぜ説得力が増すのかといえば、聞き手の気持ちに呼応する話法だから。一番言いたい結論を最初に述べることで「そういう意見か」と、聞き手は概要を理解すると同時に「なぜ、そう主張するのか?」と疑問を抱く。そのタイミングですかさず理由を述べれば、聞き手も「なるほど、そういうことか」と納得する。
さらにその納得感を高めるため、続けて詳細の部分で、具体例や根拠、データなどを示す。そうすることで、相手により深い納得感を与えることができる説得力のある説明になるのだ。
PRD法は相手の気持ちを動かしたり、行動を促したりするときにも効果的なので、ビジネスシーンだけでなく、デートの誘いなどにも有効だ。