塚本流の読書が独特なのは「本を読みきらなきゃという意識を捨てる」点だ。読みづらい本は時間の無駄、無理に読まなくていいと言い切る。
著者は自身の苦い体験から「本が好きで本屋に行ったり本を買うんだけれども、読むのが苦手で、つい“積ん読”になる人たちにもぜひ読んでもらいたい」と、執筆の動機を語る。
本文中「本を活用してほしい」との表現が随所に登場する。「すぐやる人は本を汚し、やれない人は本がキレイ」とけしかけ、気になることがあれば読むのを止め、どんどん本に書き込むべしと勧める。
また著者は、本をジーンズに喩える。「ジーンズって使うほど味が出て体に馴染むでしょ。本も使うほど味わい深くなります」。思いついたことを書き込んで「自分の本」に成長させてほしいと訴える。
「ただし『この本良かったね』で終わるのはナシ。読書でインプットした情報は、具体的なアクションとしてアウトプットしないと意味がない」
挫折と苦難の経験から生み出した読書術は、偶然にも陽明学の「知行合一」の教えに辿り着く。ビジネスマンだけでなく、子どもたちにも勧めたい一冊だ。
偏差値30台から同志社大学経済学部に現役合格。ケンブリッジ大学大学院で心理学を学んだ後、グローバルリーダーの育成に携わる。