この質問に、あなたはどう答えるでしょうか? 「通勤中に斬新なアイデアがたくさん浮かんできて、朝いちばんで上司に報告したとき」「いつも2時間かかるメールの返信が30分で終わり、事務作業が午前中で終わったとき」「取引先との会議で、先方のニーズにぴったり合った企画を提案し、大きな契約につながったとき」など、バリバリ仕事をしている自分の姿を思い出しましたか?

やる気がないときにやる気があったときの自分を想像することにより、脳内ではやる気が起きている状態がつくられます。これはそれを利用して、「すでに解決している未来」として脳にとらえさせる方法です。未来の自分はできているのですから、バリバリ仕事をする自分が思い描けた時点で、「できない」という感情は払拭されています。

どうしてもやる気モリモリ状態の自分を思い描けない場合は、「ミラーニューロン」(他者の動作を反映するニューロン)を利用する手もあります。

あなたの近くに憧れの上司や仕事のできる先輩がいるなら、その人の近くで行動を共にしたり、「あの人だったらこんなふうに振る舞うだろう」と想定して真似たりすることで、その人と同じようなパフォーマンスを習得できるようになるのです。

こうしてイメージが整ったら、余計なことなど考えずにとっとと仕事を始めましょう。「作業性興奮」といって、動物は「歩く」とか「咀嚼する」といった行動を始めると、脳幹、視床下核、線条体が連動して行動パターンができ、興奮が続くようにできています。だからとりあえず始めてしまえば、かえってやめるほうが面倒になるはずです。

篠原菊紀
公立諏訪東京理科大学教授
脳科学者。遊び中、運動中、学習中などの脳活動を調べ、脳トレへの活用や依存症の予防などを研究する。著書に『「すぐにやる脳」に変わる37の習慣』ほか多数。
 
(構成=干川美奈子 撮影=葛西亜理沙 編集=高嶋ちほ子、干川美奈子 写真=iStock.com)
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