最新技術で離職を防ぐ!「忠誠心」を育む飛び道具
東京商工リサーチによると、2018年度の「人手不足」関連倒産は400件に達し、これまで最多だった15年度の345件を上回った。人材難による倒産が本格化している。そんな中、注目を集めているのが従業員の会社に対する忠誠心、愛着度を示す「eNPS」という指標だ。
eNPSとは、コンサル会社「ベイン・アンド・カンパニー」のフレッド・ライクヘルド氏により考案されたNPS(ネット・プロモーター・スコア)という企業の商品やサービスに対する愛着度の経済指標を応用したものだ。NPSとは従来の顧客満足度より収益との相関性が高いとされ、NPS先進国の米国では売り上げ上位企業500社(Fortune500)の35%がこの指標を経営に取り入れているともいわれている。このNPSをアップルが従業員の愛着度などを測るために使い始め普及したのが、employeeの頭文字を先頭につけたeNPSだ。
「eNPSが高い企業ほど、離職率が下がり社員の生産性が上がることがわかっています」。そう語るのはeNPSを活用し企業の従業員エンゲージメント(社員の会社に対する愛着心や思い入れ)の向上を支援している、エモーションテック今西良光社長だ。どういった企業のeNPSが高く、どうしたら数値を改善できるのか。今西氏に聞いた。
稲盛氏のアメーバ経営との相関点
eNPSは、日本ではそれほど馴染み深い指標ではないかもしれませんが、欧米企業では広く取り入れられています。Yahoo!の米国本社や世界的ホテルチェーンの「フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツ」などがその例です。日本は少子高齢化の先進国といわれていますが、世界的に人材の取り合い合戦が繰り広げられる中、他国の企業も、いい社員を自社に残すため必死なのです。
ただ、日本でもeNPSの認知度は高まってきています。われわれの会社へも、eNPSの活用に関する問い合わせが増えてきています。
eNPSとは簡単にいえば、その会社の従業員が他の人にこの会社で働くことを勧めるか、それとも勧めないかということを数値化したものです。業界ごとに平均スコアが違うので、競合他社のスコアと比較しながら活用します。