私が推奨するのは、図表のような比率です。
2.先延ばしの多くを「やらなくていいこと」と決断し「やらない」の割合を大きく増やす
3.人生が変わる大きな決断や、慎重な判断を必須とするものなど、一部の「戦略的先延ばし」については先延ばしを優先する
そして、やらないと決めたらそのことはもう考えなくていい。「やらない」の割合が大きいので、やるべきことが絞られ脳はそこに集中できるのです。
逆に、やると決めたことはなるべく「小分け」にして具体的にイメージしてください。
例えば、大掃除をしなければならないとします。家中の掃除となると「面倒くさい、あとでいいや」となりますが、「リビングの窓ふき」「寝室に掃除機」「お風呂場のカビとり」など小分けにします。すると曖昧で膨大な「やるべきこと」が具体的になり、取りかかる順番や日にちなどがイメージできてすぐに取りかかれるのです。
このようにやるか、やらないかを決めることで選択と集中をすると、結果として取り組むための仕事の質と結果を出すことにつながるのです。
先延ばしをしている心配事の80%は杞憂
とはいえ、完全に「やらない」という決断は勇気がいります。
多くの人が考えることは「もしやらなかったら、あとで困るのではないか――」だと思います。しかし先延ばしできる多くのことは、ほとんどやらなくても困らないものです。
こんな研究があります。アメリカ・ミシガン大学の調査によると、心配事の80%は起こらないことが判明しています。残りの20%のうちの80%は「あらかじめ準備しておけば解決できること」で、しかも最後の残りの4%は『実際にそのときにならないと手の打ちようのない事象』ということもわかっています。
この4%はほぼ不可抗力の事態。自分だけでなく誰もが準備のしようがないのですから、最初からそれを心配したところで意味がありません。
つまり、決断をする前に「もし何かあったらどうしよう」などとネガティブに考えているのは、ほとんど心配する必要のない“取り越し苦労”に気をもんでいるようなものです。
まずは、脳のマルチタスク化をやめて、「やるか」「やらないか」の二択に絞り、「やる」と決めたら小分けに分けて具体的にイメージしてみましょう。
これだけで、先延ばしグセを克服する第一歩が踏み出せるはずです。
メンタリスト
ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計200万部を超える。