制服からSNSのアカウントまで特定できる

エアドロップは、Wi‐FiとBluetoothを使って最大で9~10メートル離れた距離にいる相手を表示する。混んでいる電車内では難しいが、あまり人がいないところであれば、iPhoneの持ち主について大体の見当をつけることもできる。

見知らぬ人からエアドロップで送られる写真のイメージ(画像=プレジデントオンライン編集部)

エアドロップの仕組みに詳しいIT業界の知人は、電車内でスマホを使おうとしたときに、本名らしき名前が表示されていたので気まぐれでネット検索したところ、女子高生のSNSアカウントがすぐに出てきたという。

「車内でプロフィール写真と同じ制服を着ている子を探したらすぐに見つかったので、悪用する人がいれば怖いと思った」

このケースも、ナンパしようと思えば簡単にできただろう。

怖いのは、本名とSNSアカウントが眼の前にいる人に把握されてしまうということだ。MMD研究所がマカフィーと共同調査した「高校生、大学生、社会人20代・30代のSNS利用に関する意識調査」(2018年3月)によると、高校生の52.7%、大学生の44.5%はTwitterを実名利用していることが分かっている。

つまり年齢が若ければ若いほど実名登録に抵抗がない状態であり、エアドロップナンパが現実味を帯びてくる。

ローティーン向けのアンケートでも被害が明らかに

最近、あるローティーン向け雑誌に協力したときのことだ。編集部に、中高生の読者を対象に「ネットやスマホ、SNSで困ったことやトラブルがあったら教えてください」という内容でアンケートを集めてもらった。

数年前にも同様のアンケートをとったのだが、今年はひとつの変化があった。以前にはなかった「エアドロップ痴漢」という回答の増加だ。エアドロップ痴漢は今年になって明らかに増えているのだ。

エアドロップ痴漢では女性が狙われやすいようだが、“近くにいる”という条件ありきなので無作為に近い。その中で女子中高生や女子大学生に被害が目立つわけは、やはりiPhoneが10代に絶大な支持を得ているからだろう。リテラシーがあまり高くなく、警戒心の低いユーザーが多いことが被害を広げていると考えられる。実は簡単な設定変更をするだけで、被害に遭わずに済む。