これを受けて、大統領の側近で経済政策を取り仕切る国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長(※注2)は、グーグルに対する規制措置をとるかどうか、対応を検討すると言明した。「同委員長の周辺では、通信品位法第230条による保護の剥奪をすでに検討し始めている」(米主要紙ベテラン記者)とされる。
グーグルは「検索結果に政治色はない」と反論
むろんグーグルは直ちに声明を出し、「政治アジェンダを設定するために検索が使われることはなく、検索結果に政治的な思想の偏りはない」と真っ向から反論している。
トランプ大統領がグーグルなどのネット企業に目をつけたのは、これが初めてではない。トランプ政権は昨年12月、ネット接続事業を公共インフラと位置づけ、すべてのユーザーに公平なサービスを義務付けた「ネット中立性規制」(※注3)の撤廃を決め、すでに実施に移している。これに対し、グーグルの親会社アルファベットなどが加盟する業界団体(マイクロソフト、ツイッター、ネットフリックスなども加盟している)は8月28日、ワシントンの連邦控訴裁判所に「ネット中立性規制」の復活を求めて提訴している。
トランプ大統領が主張する「グーグルの『トランプ ニュース』の96%は『左翼メディア』による情報ばかりだ」というのは本当なのか。実際に検索してみると、確かにニューヨーク・タイムズやCNNなどの記事が検索結果の上位に出てくる。一方で、保守系のウォールストリート・ジャーナルやフォックス・ニュースの記事も出ている。さすがに極右のブライトバート・ニュースはすぐには出てこない。
専門家によると、トランプ大統領の主張は、保守系ブログ・ネットワークであるPJメディアの調査結果に基づくものだという。
原因は「アルゴリズミック・フィルタリング」?
なぜ『トランプ ニュース』の検索結果が主要メディア主体になるのか。専門家たちは、それは「アルゴリズミック・フィルタリング(Algorithmic Filtering)」のなせる業だと指摘している。
コロンビア大学ジャーナリズム大学院が編集発行する『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』などに寄稿しているメディアウォッチャー、マシュー・イングラム氏もその一人だ。