大手メディアとの対決姿勢を強めるトランプ米大統領が、今後は検索大手のグーグルをやり玉に挙げた。「トランプ」+「ニュース」というキーワードで検索すると、トランプに批判的な大手メディアの記事ばかりが上位に表示されるのは「偏向」だというのだ。グーグルは「検索結果に政治的な思想の偏りはない」と真っ向から反論するが、トランプ政権側はネットの言論の自由を保証する法律にも手を付けかねない勢いだ――。
自らを批判する主要メディアのニュースばかりが検索上位に表示されるのは「偏向」だと、トランプはグーグルを攻撃するが――ホワイトハウスでの会議に臨むトランプ米大統領。(写真=EPA/時事通信フォト)

「グーグルはわれわれが見るニュースを操作している!」

「メディアは国民の敵だ」と公言するドナルド・トランプ米大統領と、米主要メディアとの対立は、今に始まったことではない。しかもその対立の度合いは今年夏からさらに強まり、「全面戦争」状態に入っている。

トランプ大統領にとって、「敵」はニューヨーク・タイムズやCNNだけではなくなってきた。8月28日には大手IT企業グーグルをやり玉に挙げ、1996年に制定された「通信品位法(Communications decency act=CDA)」(※注1)230条の免責条項(プロバイダーやサーチエンジンは、媒介した他者の情報について発信者としての責任を問われない)の適用除外をちらつかせた。大統領に言わせれば、グーグルもニューヨーク・タイムズと同じように「左翼偏向操作」をしているという。検索すると、出てくるのは反トランプの主要メディアの記事ばかりだというわけだ。

トランプ大統領はツイッターにこう書きこんだ。「グーグルで『トランプ ニュース』と検索すると、フェイクニュースを流すメディアの見方や報道だけが表示される。言い換えれば、やつらは私や他の(保守的な)人々に関するニュースを不正操作しているので、(検索で出た)ほとんどの記事やニュースは悪い内容だ。フェイクなCNNは特に目立つ。共和党や保守派、公平なメディアを隠している。違法じゃないのか?」

「『トランプ ニュース』の検索結果の96%は全国規模の左翼メディアのもので、非常に危険だ。グーグルや他の企業は保守派の声を抑えつけ、よい情報やニュースを隠している。グーグルなどは、われわれが見られるものと見られないものを操作している。これは注目されるべき非常に深刻な問題だ。対処する!」