“現場”を自分で見に行き、そこから逃げない社員

──原発事故前から連結で社員数がHDの連結で約1万人減っています。これはなぜでしょうか。

原発事故以来、会社に不安を感じて辞めている社員もいなくはないです。また、毎年定年退職者が1000人いるのに対して、新入社員の数が減っているのも理由です。

また、組織の再構築のため、トヨタ出身者を招き、カイゼン方式を東京電力に取り入れました。

発電所の作業フローに、トヨタ式の工業生産の考え方を取り入れて見直しました。これまではマニュアルに沿っているかどうかに照準を当てていたが、そのマニュアル自体も見直しました。一つ一つの現場作業で「なぜこの道具はここに置いているのか」「なぜここに2人ではなく、3人配置されているのか」といった疑問が生まれ、結果、今となってはこれまで人が無駄に多く現場にいたことがわかったのです。かなりのコストダウンにもつながりました。

原発事故後、会社は変わったのか

──御社の人材方針は、原発事故の前と後で変化はありましたか。

われわれは17年、新体制の経営方針を作成しました。そこには「『主体性』をもって福島事業をやり遂げる」「組織をひらき、信頼をつくる」「自分の力で事業を切りひらく」「『エネルギーの未来』をつくる」「『稼ぐ力』をつくる」といった5つの宣言が記されています。

ある意味、かつての東京電力はこの宣言の真逆の組織でした。やり遂げる能力が弱く、組織も縦割りでした。いま、電力自由化、ガス自由化によって本格的な営業職が必要になってきています。これまでは営業職といっても、地域独占体制だったので事実上の受付業務でした。これからは仕事をつくれる人材が必要になってきます。そういう意味で求めている社員は変わってきています。

──御社が考える理想の社員像とは。

まず、何かが起きている“現場”に自分で見に行って、起こっていることをしっかりと見極め、そこから逃げない社員。そして現場を愛している社員。それが大前提です。

また、繰り返しになりますが、自分で仕事をつくることができる社員です。最近だと、ガス事業、省エネ住宅を推進する会社の設立、中部電力との合弁の火力・燃料会社「JERA」の設立など、どれもゼロから生み出した仕事です。これまでのような総括原価方式からの脱却が必要です。結果的に、原発事故が当社の改革を不可避なものにし、こうした新たな事業のスピードを速めることにもつながったと思います。