大規模停電の長期化、原発作業にミス相次ぐ東電

2011年に福島第一原子力発電所で事故が起きた、東京電力ホールディングス。19年は、9月の台風15号で千葉県を中心に大規模停電が長期化し、問題となった。

報道によると、99%の復旧までに約12日間を要したという。復旧の見通しが何度も変更されたことも、大きな混乱を呼んだ。東京電力が公表した検証によると、台風15号での巡視は事前に1500人体制で準備したが、900人程度不足していた。また、被害の全容を把握しないまま、過去の経験則をもとにして復旧見通しを出していた。

撮影=横溝浩孝
東京電力ホールディングス会長の川村隆氏

福島第一原発をめぐっても、保管されている処理水を巡って議論が活発になっているだけでなく、廃炉作業中のミスが相次いだ。

11月11日に1、2号機排気筒の解体作業中、解体装置をクレーンのフックに取り付ける際にワイヤー8本のうちの1本が装置の一部に引っかかり、ワイヤーと装置の一部が損傷した。同15日には同じ作業で、解体装置の補修やワイヤーを交換して再開したが、装置を排気筒に取り付けるときに装置の先端に付く4本の樹脂製の挿入ガイドの1本が強風で筒と接触し、ガイド先端のボール部が筒内に落下した。25日には6号機で、敷地外搬出に向けて作業中だった未使用燃料棒1本が機器に挟まり、2カ所がV字形に曲がった。

朝日新聞などによると、今年度の人身災害は10月末時点で24件と、すでに前年度(22件)を上回っている。7月末に飲食が禁止されている複数の管理対象区域内で警備員が水を飲んでいたことなども判明している。