【松嶋】自分は「松嶋さんの得意料理はこうです」とか人に決められたくなくて。意味不明と言われ続けたいというのがあって。普通の人のシェフの概念で僕を見ないで、といつも思っているので……。

ダ・ヴィンチはいかにしてクリエイティブ能力を身につけたか

【岩瀬】前例のない道を歩みたいというのは僕と同じですよね。ロールモデルというか、この人いいなと思うシェフや文化人って誰かいますか?

【松嶋】人で言うならレオナルド・ダ・ヴィンチかな。医学も建築もやっていたし、彼を超えている人間が現在にいないことがおかしいと思います。

【岩瀬】マルチな感じなんだ。

【松嶋】たぶん、クリエイティブの原点がダ・ヴィンチだと自慢したいわけではなくて、彼は他人のケアをすることでクリエイティブ能力を身に着けていっているし、持った人だと思う。自分も自然からインスパイアされたクリエイティビティを持ちたいと思うし、社会問題に対して定義ができるものを生み出したいと思っているから。だからフランスのシェフからは「あいつは俺らのサムライだ」というふうに言われます。

【岩瀬】それは褒め言葉?

【松嶋】褒め言葉で。フランス料理を彼ら以上に知っていると思ってもらえているし、自分なりの確立はできているかな、とも思う。あとはこれを上手に会社としてどう運営していくかだな。

【岩瀬】それは今後一緒に考えていきましょう(笑)。

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険株式会社 取締役会長。1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年に代表取締役社長就任。2018年6月より現職。
松嶋啓介(まつしま・けいすけ)
“KEISUKE MATSUSHIMA”オーナーシェフ。フランス芸術文化勲章、農事功労章シュバリエ。高校卒業後、辻調理師専門学校で学びながら、酒井一之シェフの“ヴァンセーヌ”に勤務。20歳で渡仏。フランス各地のレストランで働き、2002年25歳で南仏ニースに“Kei’s passion”をオープン。外国人シェフ最年少の28歳でミシュランガイドの星を獲得。
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