ストレスを味方につける超シンプルな方法
ストレスに関するマインドセットについて、アメリカで約3万人の成人を対象に行われた調査で興味深い結果が出ています。
強度のストレスを感じている人たちのうち、「ストレスが体に悪い」と思っている人たちは、そうでない人たちに比べて死亡リスクが43パーセントも上昇することがわかったのです。
これまでの常識では、ストレスは神経症や胃潰瘍、あるいはがん等の病気のリスクを高め、ともすれば致命的なダメージを心身に与える恐ろしいものと考えられていました。つまり、強度のストレスはそれ自体が悪いものとされていたのです。
ところが、この調査の結果によれば、同じく強いストレスを受けていても、「ストレスは体に悪い」というマインドセットを持つか否かが、死亡リスクを左右していることがわかったわけです。
これが、マインドセットの力です。
「ストレスがない」と思い込むのは間違い
ただし、ここで注意してほしいことがあります。
ストレスは悪いものというマインドセットを変えるのはいいのですが、「ストレスがない」と思い込むのは間違いだということです。ストレスがないと思い込む人は、ストレスから目を背けているだけです。それでは意味がありません。ストレスを味方につけるためには、自分がストレスを受けていると認めることが第一歩です。ストレスから目を背けるのではなく、直視することが必要なのです。
スイスのチューリッヒ大学で行われた実験では、期末試験と冬休みという1年の中でも特にストレスが多い時期が過ぎたあとに、学生のストレス対応度を調べています。その結果、集中力や体力、自制心の低下が最も著しかったのは、「ストレスを避けたい」という思いが強い学生たちでした。
また、退役軍人を対象にした調査でも、ストレスの対処法について「できるだけ避けるようにしている」と答えたグループにうつ病が多いという結果が出ています。
ストレスは、避けようと思えば思うほど、悪い影響をもたらすというわけです。