稼ぐ人ほど「補聴器」を活用

難聴が進んだ老人は人とのコミュニケーションが減り、認知症のリスクが高くなることもあるという。このような最悪の事態を防ぐには、聞き取りに不自由を感じ始めたら、すぐに補聴器を使用することだ。

写真は、スマートなスタイルの最新スマホ連動補聴器として補聴器市場で高い人気を誇る「Halo2 RIC312」(スターキージャパン製、希望小売価格 片耳24万~48万円、非課税、2018年、低価格帯を発売予定)。(スターキージャパン=写真)

「補聴器は豊かなコミュニケーションのための必須アイテムです。日本補聴器工業会が実施した調査で、補聴器を使用するビジネスマンと使用しないビジネスマンに年収を尋ねたところ、補聴器を使用するビジネスマンでは、1000万円以上が9%、2000万円以上が3%もいました。一方、補聴器を使用しないビジネスマンでは、1000万円以上が4%、2000万円以上はほとんどいないという結果に。私の診察経験からも、補聴器の使用を希望するのは、医師、弁護士、外交官といった職業の方が多いと感じます。また、欧米でも、エグゼクティブは若いうちから補聴器を使用しています。重要な会議や取引を行う彼らにとって、補聴器は欠かせないビジネスツール。老後も稼ぎたければ、ぜひ補聴器を取り入れてください」

補聴器というと、装着に煩わしさを伴うというイメージがあるかもしれない。しかし、近年は小型化が進み、機能も発達している。耳の陰に隠れるほど小さい耳かけ型や、耳栓のように収まる耳あな型、さらには、スマホと連動したハイテク補聴器など豊富に揃う。

補聴器は家電量販店で1万円台から買えるものもあれば、片耳50万円以上の高額なものもある。耳の聞こえに不自由を感じたら、まずは補聴器相談医のいる医療機関にかかろう。補聴器の必要性を診断し、機能・価格面などベストな補聴器を購入する手立てを教えてもらえるはずだ。

▼POINT!
・どこから始まる?
耳鳴り、雑音下やひそひそ話の聞き取りづらさ、サ行カ行タ行ハ行の音の聞き間違いは、難聴が悪化しているサイン。
・最悪の場合は?
聞き取り困難によって会話などのコミュニケーションが減り、認知症リスクが高まる。うつ状態や自殺に至るケースも。
・予防・改善策は?
難聴はすぐに病院へ。急性の場合は発症から1週間が勝負。また補聴器の使用開始は、先延ばしにせず早めに。
中川雅文
国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長・教授
医学博士。聴覚評論家。順天堂大学医学部卒。耳とコミュニケーション研究の第一人者として情報を発信。著書に『耳がよく聞こえる!ようになる本』など多数。
 
(写真=スターキージャパン、PIXTA、iStock.com)
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