ヘッドフォンにいくら出せるだろうか。ずっと「スマートフォンの付属品で十分」と思っていた筆者が、最近“一耳惚れ”して買ってしまったのが、ソニーのハイエンドヘッドフォン「MDX-1000X」だ。価格3万9800円も納得の性能と使い勝手とは。
ソニー「MDR-1000X」
●ソニー「MDR-1000X」の気になるポイント
・価格3万9800円、ソニーのワイヤレスヘッドフォンの中でも最高級クラス
・世界最高峰のノイズキャンセリング機能
・ワイヤレスなのに音がいい
・没入感が高いので、電車や飛行機の中でぞんぶんに音楽が楽しめる。耳栓代わりにして作業や勉強に集中するのにも使える。
・装着したままで、必要に応じて外の音声を聞いたり、ノイズキャンセリングをオフにしたりできる。
・ハウジングのタッチ操作で曲や音量をコントロールできる
・スマートなデザインで男女問わず着けやすい
・ボタンを長押しするだけで、装着状態にあわせてノイズキャンセリング機能をチューニング、最適化してくれる。

ソニー「MDR-1000X」(http://www.sony.jp/headphone/products/MDR-1000X/)は、2016年10月29日に発売されたワイヤレス(Bluetooth)+ノイズキャンセリングのステレオヘッドフォンだ。耳全体を覆うオーバーイヤータイプで、色はブラックとグレーベージュの2色。フル充電状態からワイヤレスで約20時間使えるが、付属の航空機用プラグアダプターやヘッドホンケーブルをつなぎ、有線で利用することもできる。

開発時に想定していたターゲットは「最新テクノロジーに興味のある20代後半以降の男性」というが、完全にターゲット外の筆者(オーディオ機器のテクノロジーに特に興味があったわけではなく、女性)が、機会があって試用したところすっかり惚れ込み、即購入してしまったという一品だ。男女問わず似合う柔らかでシンプルなデザイン、非常によく効くノイズキャンセリング、ケーブルをつながないので着けっぱなしでも動きやすいこと、性能、使いやすさなどのバランスに瞬時にKOされてしまった。

通勤電車や新幹線、飛行機など低音ノイズが多い環境では、ノイズキャンセリングをオンにすれば、雑音をシャットアウトし、自分の聞きたい音楽に集中できる。普段と同じスマートフォンで同じ音源を聞いているはずなのに、聞こえてくる音がまったく違うのには大いに驚かされるが、雑音に打ち勝とうと強引にボリュームを上げて、音漏れで周りに迷惑をかけないのも大きな魅力だ。日差しが気持ちいい日の街中では、ノーマルモードに切り替えて、雑踏に音楽を被せてBGMのようにして楽しむこともできる。買い物するためにショップに入ったら、店員とのやりとりがわかるようにボイスモードに切り替える。このように、一度装着したらモードを切り替えることで使い続けることができ、音楽のコントロール含め操作のストレスがまったくないのだ。

もう一つおすすめしたいのが、ノイズキャンセリングをオンにして音楽は聴かず、耳栓代わりにするという使い方。ワイヤレスなので、スマートフォンやミュージックプレイヤーとつなげておく必要がなく、着けっぱなしでもストレスがない。BGMすら邪魔なほど集中して作業したいときなどに便利な使い方である。

実は本連載の担当編集者は、ノイズキャンセリングヘッドフォンのヘビーユーザー。ソニー含め複数のメーカーの製品を10年以上買い換えて使っているが、彼女も「MDR-1000Xのノイズキャンセリングはすごい。ワイヤレスと思えないくらい音もいい」と太鼓判を押す。

ソニーの考える最高峰ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドフォンはどのように生まれたのか? ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 企画マーケティング部門 商品企画部 Sound商品企画1課 プロダクトプランナーの大庭寛氏に、MDR-1000Xの企画書を見せていただきつつ、話を聞いた。