フォースウェーブについて、筆者が交流のあるメディア関係者に話すと、感度の高い人からはこんな答えが返ってくる。
「コーヒーは、ますますワインの世界に似てきましたね」
本当にそう思う。鈴木氏も語っていたが、「品種」「テロワール(土地)」「生産者(農園)」「栽培」により異なるからだ。前述の「ゲイシャ」も、こんな表示になっている。
「パナマ・ゲイシャ ナチュラル ××農園」
「パナマ・ゲイシャ ウォッシュ ××農園」
ナチュラルとは「果実干し」の意味で、お米のようにコーヒー果実をそのまま天日干しする。ウォッシュは「水洗式」の意味で、果実の中の豆を取り出し、きれいな水で洗うものだ。一般にナチュラルは「果実に酵母菌がつき、干し柿のようになる」(鈴木氏)という。
価格の広がり方もワインと似ている
コーヒーの場合は、生豆の特性を生かした焙煎方法が「浅煎り」「中煎り」「中深煎り」「深煎り」まであり、それ次第で味も変わる。
ただし、筆者が「ワインに似てきた」と感じるのは、価格の広がりもある。ご存じのように現在のワインは、1本で数十万円もする超高級品から、数百円の廉価品まである。コーヒーも1杯100円で、そこそこおいしい「コンビニコーヒー」が楽しめるようになった。
そう考えると「高級品の見える化」はこれまで紹介した話だが、「廉価品の見える化」も、安心・安全の面から進むように思う。それこそが「第4の波」の本質ではなかろうか。
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。