たとえば、「2週間後に完成予定で進めています。いま着手して3日目ですが、だいたいの構成ができあがっていますので、週明けくらいには一度ラフな状態で確認いただく予定です」と答えてもらえると、順調かどうかがだいたいわかり、今後のチェックポイントを考えたり、自分のスケジュールを事前に調整しておくことも可能です。資料をもらった先にある作業がスムーズに進むわけです。

仕事の全体像が見えている人は、誰からも愛される

仕事は、「提出したら、そこで終わり」ではありません。資料を作成した本人にとっては、とりあえず「提出」が区切りになるのかもしれませんが、それは、仕事全体の中での「あるステップ」に到達したというだけのこと。

ここからさらに、その資料をもとにした検討が行われたり、プロジェクトを始動させたり……という別な仕事につながります。

つまり、ひとりが担う仕事は、大きな仕事の流れにおける通過点にすぎないということです。

先ほど、上司がスケジュール感を知りたがっていることをお話ししましたが、自分の担当している仕事が、「大きな仕事の一部」というのを意識している人は、おそらく、こうした上司の要望に先回りして答えられる人です。そして、一緒に働いたときには、「この人とは仕事がしやすい」と感じてもらえる人なのでしょう。

そして、日々の些細な仕事であっても、こうした仕事全体を俯瞰する目を持って取り組んでいる人は、上司や周囲に「仕事がデキる」と評価されるに違いません。

どんな人も、自分の仕事がしやすくなるとうれしいものです。それが相手のおかげであれば、素直に相手を評価するはずですから――。

木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。2017年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある。
(写真=iStock.com)
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