「偉そうに感じる人」の2つ目の特徴は「自分に関するマイナスの情報を開示しない」ことだ。「人生の挫折経験、病気、仕事の失敗といった話をすることは、相手に弱みを見せることだ」とでも考えているのだろう。
しかし本当に仕事ができる人は皆、自分の「マイナスの情報」を実に魅力的に語ることができる。あえて相手に自分の「弱み」を握らせると言ってもいい。それはそうした「負の体験談」こそが人を惹きつけ「この人を応援したい」と無意識に感じさせると知っているからだ。
私のプレゼン研修では参加者を2人ずつペアにして、互いに最初の1分間はポジティブな自己紹介、次の1分間では挫折、病気、失敗の話をしてもらう。すると明らかに、最初の1分間よりもネガティブな後の話のほうで会場は盛り上がる。
ただ、このときに大切なのは「語り方」。ネガティブなことをそのまま暗く話しては、聞いているほうも辛くなってしまう。「こんなひどい挫折をしたが、それがあって今の自分がある」とマイナスをプラスに転換した体験談を魅力的に語る訓練を積むことだ。
40歳を過ぎた人にとって自分の過去の「負の経験」は、磨き込めば「独自の武器」となる。その「マイナスのコミュニケーション力」を磨いた人が、人生の後半戦で勝者となれるのだ。
教育改革実践家、奈良市立一条高校校長。1955年生まれ。都立青山高、東大卒。元リクルートフェロー、元杉並区立和田中校長。一条高では生徒のスマホを活用、世界初の「スーパー・スマート・スクール」を目指す。著書『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』など。