「トップランナーは競争優位性がある」
今後の成長に直結する可能性が高い設備投資額や研究開発費なども含め、ざっくりいえば、日産やホンダの企業規模は、トヨタの4割から6割の水準。日産は三菱自動車を加えれば、ホンダに肩を並べる。
トヨタを上回るといえば、日産でいえばカルロス・ゴーン会長の年俸ぐらいのものだろう。ホンダの場合は17年の半期ベースで24機を納品し、小型ビジネスジェット機分野で世界トップだった「ホンダジェット」が、今後の成長エンジンとなる可能性を秘めている。
販売台数や生産台数における国内比率が25%~35%のトヨタに対し、日産とホンダは10%台である。国内におけるシェアが低いのと裏腹だが、グローバル化では、日産やホンダがトヨタの先を行っているともいえるだろう。
過去3年における四輪車1台平均の販売価格・原価・営業利益の推移も見てみよう。
1台当たりの平均販売価格は、日産とホンダは200万円台だが、ホンダのほうが20万~30万円上回っているようだ。三菱は200万円前後での推移である。
1台当たりの平均営業利益は、多くても10万円台前半で、数万円にとどまることある。三菱自動車の場合、燃費不正問題の影響を受けた17年3月期でいえば、原価142万円の四輪車を172万円で販売し、それで獲得した営業利益はわずかに4600円程度だった。
自動車業界における最も重要なテーマのひとつであり、厳しい競争が繰り広げられているエコカーをめぐる動きも確認しておく。
大まかにいえば、ハイブリッド車では「プリウス」(1997年発売)で先行するトヨタを、ホンダが「インサイト」(1999年発売)で追随。燃料電池車でもトヨタとホンダが世界の先頭を走る。それに対して、日産と三菱自動車はEVに注力するという構図だ。少数組だが、低燃費・低排出ガスのディーゼルエンジンの開発に取り組む流れもある。
日産がEV「リーフ」の販売を開始したのは2010年。プリウスの発売からは10年以上が経過していた。それでも同年度の決算報告会で、当時は社長兼CEOだったゴーン氏は次のようにアピールした。
「当社が他社に先駆けて手頃な価格の量販電気自動車を発売し、トップランナーであるということは競争優位性につながります。他社が独自の量販電気自動車を投入する頃には、日産は何年分もの経験を積み、継続的な革新を図っていることになります。この他社との差を、今後も維持していきます」
このアピールが、結実したともいえるだろう。日産は17年10月、1回の充電で走れる距離を400kmまで伸ばした新型リーフの販売にこぎつけた。