毎日は安倍首相が「嫌い」なのか
さらに毎日の企画記事はこう続く。
「この問題では、希望の党の小池百合子代表も『情報公開が足りない』と指摘。共産党の志位和夫委員長は『冒頭解散強行の理由は疑惑隠し以外にない』と追及した。別の企画委員も『一番偉い人の友達が優遇された。ゴルフも会食もした方が厚遇を受けたことに、何の反省も問題も感じないんですか』と質問した」
「首相の答えはこれまでと同様で、『私自身がもっと慎重であるべきだった。しかし私が何か(権限)を行使したとは、前川さん(喜平・前文部科学事務次官)を含めて誰も証言していないことが明らかになっている』と繰り返すにとどまった」
こう書かれると、どうしても安倍首相にマイナス点が付いてしまう。毎日は安倍首相その人が嫌いなのだろう。
朝日の論説委員が「噴飯」質問?
最後に産経新聞のコラム(10月9日付)を取り上げる。筆者は阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員である。こちらは10月8日に「産経ニュース」にも掲載されている。
阿比留氏は「8日の日本記者クラブ主催の党首討論会は、会場にいて赤面する思いだった。学校法人『加計学園』をめぐるベテラン記者(記者クラブ企画委員)らの質問があまりに噴飯もので、聞くに堪えなかったからだ」と指摘する。
どこが口の中の飯を吹き出してしまうほど「おかしかった」のだろうか。沙鴎一歩と同様に質問する記者の態度が横柄なところを問題視しているのか。
そんなことを思いながら阿比留氏のコラムを読み進めると、毎日の選挙企画記事が取り上げたのと同じ朝日の論説委員と安倍首相のやりとりをそのひとつに挙げている。
「会場から笑い声が漏れる中、(中略)社の論調と異なる加戸氏らの意見もきちんと報道していると言い張っていた。安倍首相も苦笑を浮かべつつ、国民に新聞のファクト・チェックをするよう求めるにとどめていたが、実際はどうだったか」
「朝日がいかに『(首相官邸サイドに)行政がゆがめられた』との前川喜平・前文部科学事務次官の言葉を偏重し、一方で前川氏に反論した加戸氏らの証言は軽視してきたかはもはや周知の事実である。それなのに、どうして胸が張れるのか全く理解できない」
前川氏の証言と加戸氏の反論のどちらが正しいか、この2人を直接取材したことがないのでいまの沙鴎一歩には分からない。それに「会場の笑い」「安倍首相の苦笑い」など毎日の企画記事と阿比留氏のコラムにも、多少の違いがある。人間である以上、証言や文章の表現には、どうしても主観が入ってきてしまうからだろう。
ここで一言、いわせていただこう。朝日の論説委員が正しいのか、あるいは安倍首相の対応に間違いがないのかが、大きな問題ではない。
新聞記者には社のスタンスに関わりなく、真実を追及することが求められる。それを忘れ、「安倍首相が生意気だから」「安倍首相と仲良くしたいから」といった思惑で取材を進め、記事を書くことは避けなければならない。