10時から14時ぐらいまで案内して1万円

こうして英語を話せるようになると実地研修を兼ねて何度か渡英し、現地の人と触れ合った。そこで学んだのは「相手の地元の話をすれば喜ばれる」ことだ。これが観光ガイドの会話にも生きている。

「米国のコロラド州デンバーから来た観光客には、『デンバーはスキーが盛んで魅力的なスキー場がたくさんありますね』という話をしたら喜ばれました。日本人同士でもそうですが、相手の住んでいる土地の話は、交流が深まるきっかけになると思います」

小田さんが強調するのが、背伸びをせず、ごく普通の暮らしをお客に体験してもらうことだという。たとえば「和食」や「寿司」は大人気だが、無理して高額店に行かなくてもよい。

小田さんは、初めてのガイドで2日間案内したインドネシア人の家族を、初日は原宿の定食屋チェーン、2日目は浅草・新仲見世通りの回転寿司店に連れて行った。帰国後にその人が好意的なコメントを書いてくれて、次のオファーにつながったという。

一つ気をつけたいのが、デリケートな話題には触れないこと。日本人の感覚とは違い、総じて外国人は宗教や人種の話には敏感だ。

気になる報酬だが、「特別な内容でない限り、10時から14時ぐらいまで案内して1万円が目安」(小田さん)。

さらに、次のような効果もあるという。

「私の知人には、英会話教室で身に付かなかった英語が、ガイドで身に付いた人もいます。おカネがもらえて生きた英語を学べるのです」

仕事の依頼は、ほとんどがネット上の「マッチングサイト」を経由してやってくる。

「多くの方は、サイト登録時の『新宿生まれです』とか『趣味はラーメン店巡りです』という自己紹介を見て依頼してくださいます。プロ級とまでは言いませんが、それなりの知識は備えていたほうがいいでしょう」

(撮影=大杉和広)
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