IT企業も東大、早慶、MARCH以上を選ぶ

1dayインターンシップを開催したあるIT企業の人事担当者はこう話す。

「インターンシップといっても企業説明会の延長のようなもの。日本経済や業界の状況、その中での自社の強みを紹介し、その後は動員した社員との交流会やグループワークなどを行った。学生はエントリーシートの大学名を参考に東大、東工大など国立大学や早慶、MARCHクラスの私立の理系や文系の学生を選んで実施した」

しかし、それで終わりではない。

動員した社員は参加した大学生のOB・OGをあえて選んでいた。OB・OGから学生の発言や行動など人物の特徴を聞いて順位付けし、後日、OB・OGが学生に個別に接触し、非オープンの1週間程度のインターンシップへの参加を呼びかけた。

インターンシップの期間や形式は企業によって異なるが、参加枠に限りがあるとはいえ、なぜ大学名によって選考するのだろうか。IT企業の人事担当者はこう説明する。

「もちろんいろんな大学にも広げたいが、採用実績校などの優秀な学生に他社よりも早く接触したいという思いがある。大学名で分けることに批判があることは承知しているが、旧帝大や早慶など偏差値の高い大学にいるということは少なくとも受験プロセスとして受かるための学習をしてきた人たち。学ぶ力、学習する力は社会人になっても再現性があると見ている。少なくとも他の大学生よりも勉強のやり方は知っている。だから大学フィルターは当社にとって優秀な人材を採る手段として有効だと思っている。もちろん入り口の目安であって、実際に採用するかどうかはじっくり吟味して決めている」

▼偏差値上位校「以外」の学生には狭き門

なるほど、それなりに筋は通っているように思える。だが、逆に言えばそれ以外の方法で学生の能力を見抜くスキルが少ないことを露呈している。

インターンシップやOB・OGのリクルーターを使って採用手法が以前より多様化しているといっても、早い段階で学歴選考が進んでいる。それが現実なのだろう。

売り手市場とはいえ、偏差値上位校以外の学生にとって大企業はますます狭き門になりつつあるのではという危惧を覚える。