大手商社インターン募集50人枠に3000人殺到

一方、大学や学生はそうした“流れ”を受け入れざるをえない。サービス業の人事担当者は次のように指摘する。

「大学のキャリアセンターもインターンシップへの参加を呼びかけているし、学生も就活はインターンシップから始まると意識している。企業は学生を早く確保したいという思いがあり、大学や学生はインターンシップに参加すれば別ルートで選考してもらえるという期待がある。両者の思惑の中でインターンシップ採用が動いている」

もちろんインターンシップに参加しただけで必ずしも内定につながるわけではない。にもかかわらず、人気企業に学生が集中し、インターンシップに参加するだけでもハードルが高くなる。

驚くべき事実がある。

学生は就活情報サイトのインターンシップサイトを通じてエントリーし、選考を経て参加の可否が決まるのだが、ある大手総合商社は50人の募集に3000人が応募するほど高い競争率(60倍)なのだという。

▼大企業や一流企業のインターンは一流大以外は門前払い

じつはインターンシップの参加の選考で“大学フィルター”をかけている企業も少なくない。

かつて広報解禁後の企業説明会では企業が指定した大学の学生を優先して参加資格を与え、席に余裕があるとその他の大学生に募集をかけるという大学フィルターが存在したが、今ではインターンシップでも使われている。

今回、取材した金融業の人事担当者はその理由についてこう語る。

「採用選考の前段階なので本当はたくさんの学生にインターンシップに参加してほしいのだが、担当スタッフの選任など各職場との調整など労力や手間もかかるのでどうしても受け入れ人数に限りがある。そうなると当社の採用実績校や優秀な学生が多い旧帝大などの国立大学や早慶の学生などに参加してもらいたいという気持ちになる。そして就業体験を通じてさらにじっくり観察することもできる」

同社はエントリーした学生と面談し、参加の可否を決めているが、事前に対象大学を旧帝大クラスと早慶、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)クラスで約7割、その他の大学3割に絞り込んで面談している。最終的な参加者はGMARCHクラス以上が9割を占めるという。