プレゼンテーション能力は「打ち出の小槌」

●将来も稼げる職種 IT系2:セキュリティコンサルタント

同じIT系でも、システム開発とは違う分野で注目度が高まっている職種がある。マイナビ調査の「職種別年収ランキング」で21位、663万円の「セキュリティコンサルタント」だ。

ITセキュリティに関しては、大きくコンサルタントとエンジニアの2種類に分けられる。セキュリティの観点から経営者や部門の責任者に企画・提案し、意志決定の支援を行うのがコンサルタントだ。サイバー攻撃が多発している現状を踏まえ、よりスピーディーに対応するために業種を問わずITセキュリティに詳しい人材を内部に抱え込む企業が増えている。

マイナビ調査ではセキュリティコンサルタントの平均年収は663万円だったが、私が最近取材したあるIT系企業では、20代後半から30歳前後のエンジニアで年収500万~800万円程度、会社のセキュリティの責任者クラスになると35~40歳前後で800万~1500万円の範囲とのことだった。話を聞いた人事部社員によれば、「日本企業は1000万円が上限だが、外資系のシニアマネジャークラスは1500万円を超える人もいる」という。そういう意味で、ITのセキュリティコンサルタントは今後、給与面で伸びしろのある職種と言えるかもしれない。

●将来も稼げる職種:アセットマネジャー

将来有望な稼げる職種はIT系ばかりではない。ここで挙げたいのは、高い専門性を有し、さまざまな情報を分析しながら資産の運用を行う「アセットマネジャー(コンサルタント)」だ。マイナビ調査は10位で平均年収737万円だった。

彼らはファンドマネジャーとも呼ばれ、運用専業の投信・投資顧問会社、信託銀行、生損保会社に在籍し、日本に約2000人存在する(投資運用会社要覧)。投資信託や年金資産を預かり、内外の株式や債券をはじめ不動産、デリバティブなど多彩な商品を扱い、運用成績で評価される。

証券系投資顧問会社の元ファンドマネジャーはこう語る。

「扱い資産が50億円だと小さいなという印象。200億~500億円だと普通のレベル。投資理論や運用哲学など基礎的素養に加えて、社内会議で自分が推奨する商品を入れてもらうにはプレゼンテーションの能力も要求される」

現役時代の報酬について、この元ファンドマネジャーはこう話す。

「30代前半のジュニアマネジャークラスで、ベース年収が900万~1000万円、これに運用成績がよければ400万~500万円のボーナスが上乗せされる。40~45歳のシニアマネジャークラスになるとベース手年収で1300万~2000万円、ボーナスを入れると2000万円は超えていた。外資系はボーナス込みで4000万~5000万円の報酬を出すところもあった」

マイナビ調査のランキングによれば、平均年収は737万円とそれほど高くはないが、これはおそらく転職時のベースサラリーだと考えられる。