2500年前からの真理「人を怨んではいけない」
孔子は3000人もの弟子を持つ、とても優れた人物であったと言われていますが、それでも不遇の時代が多く、認められないことも少なくなかったのです。このくだりを読んで、上司との軋轢で消耗していた私の心はたちまち晴れました。孔子でさえもそんな恵まれない時代があったのだから、自分もあって当然だろう、と。
どんなに頑張っても、人に認められないことはよくあることです。世間が十分に自分を評価しないことを嘆きたくなるのは人情です。現代に生きるビジネスパーソンも懸命に働いているのに、身を粉にしているのに、上司や会社から評価されない。そんなふうに感じている人は少なくないでしょう。しかし、そんなときは『論語』を読んでみてください。その冒頭で、何か(誰か)を恨んではいけないということを読者に述べているのです。
▼調子が出ないときこそ「先人の知恵と基本」を学ぶ
とはいえ、世間にずっと知られないままでいいと言っているわけではありません。『論語』の別の項目では「己を知ることなきを患(うれえ)ず、知らるべきことをなすを求む」とあり、「知られていないことを憂えるのではなく、認めてもらえるようなことをすることが先だ」とも述べています。
人に自分が知られないことを、半ば悟ったように開き直るのではなく、知られるような成果をあげなければならないということなのです。何もしないで人に認められるということはありません。人に認められるような仕事をするための努力が必要なのです。
そのためには、勉強も大切です。
『論語』には、「吾(われ)かつて、終日食らわず、終夜寝ず、もって思う、益なしと。学ぶにしかず」と述べられています。孔子ほどの人が、終日食べず、徹夜して考えても「益なし」だったのです。つまり先人の教えなどを、学んだほうが早いということです。
自己流でなんでもやろうとする人もいますが、先人の知恵や基本をまずしっかりと学ぶということも大切です。基本を身に付けたうえで、自分なりのオリジナリティを出すことです。基礎がしっかりしていないものは、いずれどこかで崩れます。