プロ野球・北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督は、監督就任から8年でチームをリーグ優勝2回、日本一1回に導いた。一方、2019年度は9連敗と8連敗を喫し、リーグ5位に沈んだ。勝っているとき、負けているとき、名将はなにを考えているのか――。

※本稿は、栗山英樹『栗山ノート』(光文社)の一部を再編集したものです。

写真=時事通信フォト
握手をする日本ハムの(右から)畑佳秀オーナー、栗山英樹監督、川村浩二球団社長=2019年10月2日、東京都品川区

「監督としての責任を果たせているか」という自問自答

プロスポーツの監督という職業は、契約を結んだ瞬間からチームを離れるカウントダウンが始まる――そんなことが言われています。

日本のプロ野球の場合、監督のチームの離れかたは様々です。契約満了をもってユニフォームを脱ぐケースがあれば、契約を残して辞めることもある。シーズン途中で球団と話し合い、休養という形で別れを選ぶこともあります。

私はいま、自らが監督としての責任を果たせているのだろうかと、自問自答しています。

2012年に北海道日本ハムファイターズの監督に就任してから、良いシーズンも難しいシーズンも経験してきました。最終的な結果は毎年違っても、最後にどうやって日本一になるのかを常に考えてきました。

16年以来の日本一を目ざす19年シーズンに、9連敗と8連敗を喫してしまいました。17年に6連敗と10連敗という不名誉な記録を作っていましたが、それ以来となる黒星の連鎖です。

連敗というトンネルに迷い込むと、チームに「今日も負けてしまうのでは」という空気が覆いかぶさっていきます。相手チームに先制されたり、逆転されたりすると、スタッフも選手たちもため息を呑み込めなくなってしまう。弱気な言葉を口にしなくても、チームの士気はなかなか高まりません。