プロ野球・北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督は、野球を始めた小学1年生のときから野球ノートを書き続けている。なぜ続けられたのか。そこには何が書かれているのか。著書『栗山ノート』(光文社)から一部を紹介しよう――。

ときには「書けなかった」という日もあった

もう何年になるのだろうか。ある習慣があります。

野球ノートをつけているのです。

写真撮影で栗山英樹監督(前列中央)とポーズを取るドラフト1位の河野竜生投手(同左、JFE西日本)ら日本ハム新入団選手=2019年11月23日、札幌市中央区(写真=時事通信フォト)

私は小学校1年から野球を始めました。3歳年上の兄が所属していて、父が監督を務めるチームの一員となりました。

小学校当時はその日の練習メニューを書き出したり、気になったプレーを図解したりしていました。うまくできたプレー、ミスをしてしまったプレーを整理する意味合いを持たせていたのだろうと思います。

中学から高校、高校から大学と野球を続けていくなかで、ノートと向き合う気持ちは変わっていきます。自分のプレーを見つめる視点に、チームが勝つためにはどうすればいいのか、という考えが織り込まれていきました。

テスト生でヤクルトスワローズに入団してからも、チーム第一の気持ちは芯を持っていきます。自分はドラフトで指名され、即戦力として期待されている選手ではない。プロ野球という世界に存在するヒエラルキーで、もっとも低い立場でした。だからこそ、チームの勝利に貢献できる自分になることを、強く意識する必要がありました。

練習後や試合後にノートを開くことは習慣化されていましたが、ときには書かない日もありました。書けなかった、と言ったほうがいいかもしれません。