寝不足だと、人の表情が読み取れなくなる
健康な49人を2グループに分けて、ひとつのグループには徹夜をさせ、もう一方には通常の睡眠を取ってもらい、翌日の認知反応を見るという実験があった。
起きたあと、ふたつのグループに、怒り、笑顔などの度合いが違ういろんな顔写真を見せ、その感情を読み取ってもらう。結果、寝不足のグループは感情を読み取るのに時間がかかり、特に悲しみの表情を正確に読み取れなかった。
つまり、寝不足をすると相手の反応や表情をみて、気持ちを読み取れなくなってしまうわけだ。
さらに、ペンシルベニア大学のデビッド・F・ディンジス氏らは、眠らないグループと、普段通りの睡眠をとった2グループに、数学問題を解くなど、一連の作業をしてもらう実験をしている。両グループに簡単な問題と、難解な問題を解いてもらう。
(1)難しい問題を解いたあと:両方のグループから聞かれた声は、ストレスがたまる、イライラする、不安になる……といったネガティブな意見だった。
(2)簡単な問題を解いたあと:よく寝た人たちは、さほどストレスを感じなかった。それに対して、寝ていない人たちのほうが高いストレスや怒り、不安を感じたと回答があった。
ここから、日常的にそれほど負担にならないことにすら、睡眠不足では大きなストレスを感じたり、不安を覚えたりすることがわかるだろう。寝不足で認知や情報処理能力が著しく低下すると、誤解しやすくなり、人間関係がうまくいかなくなるのは容易に想像できそうだ。
こうした問題を抱えないためにも、眠りの研究者たちが成人に勧める睡眠時間は、7時間~9時間。だが、なかなか時間を確保できない人もいるだろう。そんなときにお薦めなのが、専門家が薦める「サルでもできる快眠法」だ。