【三浦】総裁後継レースにおいて、派閥ごとの政策の差はあるんですか?
【石破】政策の差はあまりクリアに出てこないんじゃないですか。中選挙区制の時代なら、福田派清和会が右で、中曽根派がもっと右で、真ん中くらいに宏池会がいて、一番左が三木派というわかりやすい構図でしたけど、今は同じ派閥でも右から左までいますからね。派閥による政策の差がわかりにくい。
【三浦】これだけ議員が増えて、しかも流れで派閥に入るケースが多いから。
【石破】今、自民党は衆参両院合わせて400人強いますが、約半分は野党を経験していない。私は野党時代に政調会長、幹事長を務めましたが、野党に転落したとき、自民党のオウンゴールだと思った。小選挙区制を取っている国で10年以内に政権が戻った国はほとんどないから、私も自分が議員でいる間は政権が戻らなくても仕方がないと思っていた。だから街頭に出て、どれだけ罵声を浴びようが、自民党が今後どうしていくか、何を考えているか、訴えたのです。そういう経験を持った人が今は半分以下になってしまった。これが小選挙区制の怖さで、またいつ逆風が吹いてバタバタと落ちるかわからない。だからこそ、常に国民と近くなければいけないんです。数がいればいいのではなくて、逆風が吹いても、あるいは国民に受けが悪いことを言っても、選挙に通ってくる仲間を増やして、一緒にやりたいなと思います。
1957年、鳥取県生まれ。衆議院議員(10期)、水月会(石破派)会長。慶應義塾大学法学部卒業後、三井銀行入行。86年衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、地方創生担当大臣を歴任。著書に『日本人のための「集団的自衛権」入門』ほか。
三浦瑠麗
1980年、神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学農学部卒業。東大公共政策大学院修了。東大大学院法学政治学研究科修了。法学博士。現在、東京大学政策ビジョン研究センター講師。『朝まで生テレビ』や『プライムニュース』などでコメンテーターとして活躍する気鋭の若手論客。近著に『「トランプ時代」の新世界秩序』。