なぜ、妻は夫に台所を“明け渡せない”のか?
2. 夫の料理に感謝し、褒めると家事負担軽減
同協会「料理教室に1年間通った、シニア男性の声」(2012年8月)によれば、シニア男性が料理教室のなかで習って一番人気だったメニューは、「ハンバーグ」だということが明らかになっています。
その理由としては、「家族からのリクエストが多い」、「作ってみたら家族から美味しいと評価された」といった内容が多く挙げられていました。シニア層の男性というと、和食を好むイメージですが、家族から喜ばれたという理由が目立っていることが特徴的です。
松田氏からも次のように語ります。
「夫に料理を長く続けてやってもらうためには、料理をする夫を褒め、感謝をすること大切です。子どもがいる方は、子どもの口から、『おいしい!』『すごい!』と褒められることもやりがいにつながります。約10年前と比べると、お孫さんに料理を作る男性の方も増えているので、お孫さんに喜ばれることがやりがいにつながっているケースも多いと聞きます。少し料理に慣れてきたら、友人等に料理をふるまう機会を積極的に設けると良いと思います」
料理を始めた夫に対して、妻は感謝の気持ちを示し、良かったところを積極的に褒めることが、夫の料理を長続きさせるためのモチベーションアップにつながると共に、家族のコミュニケーションを増やすきっかけにもなると考えられます。逆に言うと、やさしい目線で初心者を見守る姿勢が女性にないと(夫もやって当然、といった言動ばかりで感謝や褒めがない)、結局、家事分担割合はそれまでと同じということになりかねません。
3. 台所を明け渡す勇気を持つ
言ってみれば、ビギナーの夫のプラスな面に対して意識を向ける努力が必要なのです。しかし、これが意外と実践するのが難しい。
同協会「定年退職した夫の昼ごはん、どうしていますか?」(2013)のなかに妻の正直な気持ちがレポートされていました。なんと約4割の妻が夫に料理をしてほしくないと思っていたのです。その理由は何か?
「キッチンが汚れるから」(80.9%)
「うまく作れないから」(78.2%)
せっかく夫が料理への関心を持っていても、妻が阻害しているケースも少なくない。これは定年退職をした夫を持つ妻の意見ですが、夫の現役世代の世帯でも似た傾向があることは明らかです。