夫が聖域(台所)に入ると、妻がイライラする理由

また、同協会「料理教室に1年間通った、シニア男性の声」(2012年8月)にも、そんな妻の阻害に困惑する夫の声も載っていました。

「妻が料理の主導権を握っており、入り込む余地はない」
「妻の聖域でもあった台所で手間取りながら作っていると妻にイライラされる」
「習った料理の作り方と妻の作り方は、当然手順等異なることは理解できるもののとまどう」

この夫婦間の微妙な問題について、松田氏はこうアドバイスします。

「汚される、散らかされることを恐れていては、いつまでも自分が台所に立つことになります。台所を解放する勇気を持ち、台所は2人の共用スペースだと考えることが大切です。例えば、夫が上手にできる料理があれば、得意料理と認定して、そのメニューは必ず夫に作ってもらうなど、お互いの作るメニューを分担するというやり方もあります」

夫が厨房にいる時間を長くしてもらうためには、厨房を明け渡す勇気を持つと共に、夫婦でコミュニケーションを取りながら、上手に役割分担をしていくことも重要だと言えます。

4. 価値観の相違を乗り越えて

最後にまとめとして松田氏からはこんな提案がありました。

「料理に不慣れな夫が料理をやり始めると、価値観がぶつかることやお互い譲歩しないとやっていけないこともあると思います。ただ、続けていくうちに、夫は妻の今までの家事の大変さを理解し、妻もそのような夫の変化に感動することが多く、そういう気持ちをお互いが汲み取りながらやっていければ、円満にやっていくことができます」

夫婦であるがゆえに遠慮がなく、衝突してしまうことも多いかもしれませんが、そのようなことに臆することなく、挑戦してみることで、夫婦にとっても新たな気づきや、学びにつながるものがあるのではないでしょうか。

(ベターホーム協会=取材協力)
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