嫌なことがあったら、ゆっくり階段の上り下り
現代社会で、もっとも大きなストレスとなるのが人間関係。ビジネスシーンでも上司や取引先とトラブることがあるでしょう。落ち込んで、心がざわざわしたまま仕事に戻っても作業ははかどりません。上司に叱られた時点で自律神経は乱れ、コンディションは最悪です。
そんな状態では作業能率は上がらず、判断力も低下していますから、ミスを誘発するだけです。しかも、自律神経はいったん乱れると3~4時間は元に戻りません。結局、なにもはかどらず無駄な時間を過ごしてしまうことになります。
「気持ちを切り替えよう」と思っても効果はありません。メンタルの問題をメンタルで処理しようとしても無理です。そういうときこそ体を動かすべきなのです。いったん席を離れ、階段を1~2階分、ゆっくりとリズミカルに上り下りしてください。血流がよくなり、副交感神経の働きが高まり落ち着きます。ミスの後処理をどうするかなどの事後対策は、こうして体を動かしてから考えたほうが、いい方法が見つかります。
現代人はリラックス(副交感神経優位の状態)が苦手ですが、寝る前の正しい入浴は副交感神経を高めます。
湯は39~40度のやや温めにし、掛け湯をした後、ゆっくりと湯船に入り、5分間、首まで浸かります。次に半身浴を10分。これが基本です。半身浴で体を芯から温めると、お風呂から出たときの冷えを感じることが少ないので、温度差の影響を受けずに済むのです。
緊張を和らげるには
●副交感神経を活性化
(1)人さし指、中指、薬指の3本を使って側頭部からおでこ、顔の全体を、軽く触れる程度の力でやさしく叩く。
(2)手で三角形を作り、頂点がへその下に当たるように置く。4秒かけて息を吸い、8秒かけて息をすべて吐き切る。
やる気をアップするには
●交感神経を活性化
(1)足を肩幅ほど開いて真っ直ぐに立つ。頭の上で手首を交差させる。肩甲骨が内側によるのを意識し、息を吸いながら全身を上に伸ばす。
(2)次に息を吐きながら腹に力を入れ、上体を前にゆっくり倒し、ゆっくり吐きながら戻る。
順天堂大学医学部教授。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、ロンドン大学付属英国王立小児病院、アイルランド国立小児病院などを経て現職。数多くのプロ選手のコンディショニングにかかわる。