不祥事のダメージの大きさは、スキャンダルの内容とは関係ない。新聞の割く紙面の大きさやテレビが放映した秒数によって決まる。どんなに罪が重かろうとも、報じられるのが一度に短時間ならダメージは最小限で済む。

逆に大げさにしてしまい、メディア側を混乱させるという手もある。孫子のいうところの「乱して之を取り」に当たる。

謝罪会見の場で、不祥事が起きた部門の新しい施策やサービスをぶち上げてしまうのである。中国産の食材から違法農薬が検出された場合などを想定して「商品の回収などでは生ぬるい。現地法人の経営者をクビ。法人は解散」などと記者の意表を突くような大げさな幕引きを演出。一度華々しく報じてしまえば、日本のメディアはめったに後追いはしないので、後日同じ人を経営者に同じ業務を担当する現地法人を発足させたのに、どの新聞も報じなかった例が存在している。

不祥事が発覚すると、人は頭が真っ白になってしまうものだ。そんなときは、冷静に捜査当局の動向とメディアの心理を読むことが一番だ。メディアは「続報」を、捜査当局は「余罪」を待っている。該当する不祥事は過ちを認める一方で、その不祥事以外の捜査をさせないよう、捜査当局が押収しようとする現場の一つ一つを、本当に必要かどうかを確認していくというギリギリの戦いが、組織を救うのだ。

(文中敬称略)

(写真=時事通信フォト)
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